最近、ブログの話の半分は「とび太くんを探せ」で、
残りは本か論文かといった具合です。
本当は季節ネタももっと織り込んで
バラエティに富んだブログにしたいと思っているのですが、
最近どうもすすみません。
話が尽きてしまったわけではないのですが・・・。
と、嘆いていてもしかたがないので、
なんとか一つ書いてみました、季節ネタ。
・・・といっても、もう3週間ほど前の話で、
季節はずっと進んでしまっているのですが。
11月の下旬、診察を終えて院長室に戻ってみると、
机の上に見慣れない果物らしきものが入った箱が置いてあります。
スタッフに聞くと、
どうも管理人さんが持ってきてくださったそうなのです。
箱には1枚の説明書が入っていました。
「ムベ(郁子)」についての説明書きです。
そうか!これが、「ムベ」なんだ。
大分昔ですが、
嫁さんのおじいさんの家に遊びに行ったとき、
絵が飾ってあったのですが、それがむべの絵でした。
素朴だけど味わいのある絵で好きでした。
実物を見るのは初めてでした。
アケビに似ています。
それもそのはず、ムベは、アケビ科に属する植物の様です。
ネットで調べてみると、
アケビが落葉性で果実は熟すと裂開するのに対して、
ムベは常緑性で果実が裂開しないという違いがある様です。
常緑性なので、「トキワアケビ」とも呼ばれているそうです。
管理人さんが添付してくださった説明書にも書いてありましたが、
むべは縁起のいい植物なんだそうです。
>伝説の果物「ムベ」とは一体?アケビとの違いや育て方、食べ方までご紹介!
”ムベの葉は”掌状複葉”といって小さな葉が手の平の指の様に細くて長い柄の先に付いた形をしています。この小さな葉が幼木の時には3枚、生育途中で5枚、果実が結実する頃には7枚となりますので、「七五三の縁起木」と云われ、「無病息災の木」と併せて尊ばれているのです。”
<ムベの由来>
”ムベの実を食べると長生きするという言い伝えから”不老長寿”の実として800年頃から栽培され宮中に献上されてきたという事です。
毎年秋に『大贄(おおにえ)』(神または朝廷への貢物とされた地方の産物)として宮中に果物として献上されてきたのですが、その時の名が「包且(おおむべ)」と呼ばれていたので、おおむべ→ムベへと転訛したとも云われています。長寿を願う果物として最良の贈り物ですね。”
そして、この果物が「ムベ」と呼ばれるようになったのには、
この滋賀県、近江の国と関係があるそうなのです。
>謎の果物むべ
” 近江大津宮が栄えていた頃のこと。
天智天皇が近江国の蒲生野で狩りをしたとき、琵琶湖に面した蒲生郡奥島庄という場所に立ち寄りました。 そこで天皇はとんでもない老夫婦に出会いました。 彼らは子どもを8人も持ち、とても長生きをしている上に病気一つしていないのです。
驚いた天皇は、なぜこのように健康で長生きできるのかを夫婦に訪ねました。 すると夫婦は「この地に古くから伝わる果物を、毎年秋に食しているからです。」といい、アケビを小さくしたようなような果物を見せました。
不思議に思った天皇はその果物を口にすると、一言「むべなるかな。」(もっともであるなあ)と言い、朝廷に毎年献上するように、と命じました。
このとき天皇が口にした「むべ」という言葉が、そのまま不思議な果物の名前になってしまった、ということです。 そして、この年から、奥島地区から朝廷へのむべ献上が始まったのでした。”
ということなのです。
そうか、天皇家に献上するようなものだったんですね。
さて、食べてみることにしました。
割ると中はこんな感じ。
黒いタネがぎっしり詰まっていて、
その周囲にゼリー状のものがまとわりついています。
このゼリー状の部分を食べるんですね。
口の中で種をより分けてゼリー状の部分だけを食べるのは、
ちょっとめんどくさいものではありますが、
ゼリー状の部分は、確かに甘くて美味しい!
ゴーヤが完熟すると黄色くなりますが、
あの黄色くなったゴーヤは種が真っ赤なのですが、
この真っ赤な種を包んでいるわたの部分が完熟するとゼリー状になります。
あれに似ています。あれも結構甘いのですが、ムベの方がさらに甘いです。
(ちなみに完熟ゴーヤの種や周囲の部分は、
食べ過ぎるとお腹を壊しますので注意が必要です。)
現代は甘いものがあふれかえっていますので、
それほど美味しいと思わない人も多いかもしれませんが、
昔の人がこのむべのゼリーを食べた時には、
さぞや感動したことと思います。
今年は夏からずっと体調が悪い人が多くて、
診察もちょっとバテ気味だったのですが、
ちょっと元気がでてきました。