2001年の本。
SFのような、サスペンスのような、
ファンタジーのような、不思議な小説。
主人公は、ある日事件に巻き込まれ、
頭を殴られ瀕死の重傷を負う。
ところが、
目が覚めたら超人的な犬をも凌駕する様な
嗅覚を獲得しており、この嗅覚を使って事件を解決していきます。
大分前に読んだ本なんですが、強く印象に残っています。
分厚い本ですが、一気に読むことができました。
題名の『オルファクトグラム』ですが、
「オルファクト」というのは嗅覚を意味します。
12本ある脳神経の1番はニオイの神経「嗅神経」で、
olfactry nerveと言います。
とにかく、この主人公の嗅覚の表現が面白い。
嗅覚が視覚の様に見えるようになっているのです。
よくまあこんなこと考えたなぁと、ホント感心します。
この、「嗅覚が視覚の様に感じる」という表現、
これを「共感覚」と言います。
共感覚は嗅覚-視覚に限らず、他の感覚同士でも構いません。
おそらく聴覚-視覚間の共感覚を持っている人は多い様です。
つまり、聞こえる音や声を色や形の様に感じるらしいのです。
特に音楽をやっている人に多いようですね。
僕の五感は残念ながらごくごくノーマルで、
共感覚は持ち合わせていません。
ただ、確かに僕のような普通の感覚しか持ち合わせていない者でも、
昔、ベートーヴェンの『田園』を聴いた時には、
「ほお!確かになんとなく田園が見えるような感じがするな」
と、なんとなく思った記憶があります。なんとなくですけど。
共感覚というのは、おそらく、
そうした感覚の延長線上なのかなと思いますが・・・
どうなんでしょう、共感覚をお持ちのみなさん。
この小説、結末もちょっと予想外でした。