当科に来院された患者さんで
逆流性食道炎が疑われた患者さんにお渡ししているパンフレットの内容です。
——————————
逆流性食道炎について
逆流性食道炎とは胃酸が食道に逆流しやすい状態です。
典型的な場合は「胸やけ」や「げっぷがでやすい」といった症状があります。
「私は胸やけなど感じたことがない」という方でも、
就寝中にのみ、胃酸が咽頭にまで上がってきて、
日中のイガイガした違和感や咳が続くという場合もあります。
検査所見としては、食道と気管の分岐点が腫れぼったくなっています。
また、胃酸を抑える薬を1~2週間服用して、
症状が改善される場合は逆流性食道炎の可能性が高いと言われています。
逆流性食道炎と思われた場合は以下のことにもご留意ください。
1)逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流しないように
締めている弁(下部食道括約筋)がゆるくなった状態です。
この筋肉は食後2~3時間にゆるみやすいといわれています。
この時間に横になると、食道に胃の内容物が逆流しやすくなります。
さらに、食べてすぐに寝ると唾液の飲み込みが減って
酸を胃に戻す機能が働きにくくなるといわれています。
食後2,3時間は横にならないように心がけて下さい。
2)食事中に空気を飲み込むと、胃酸の逆流を引き起こしやすくなります。
空気の飲み込みは急いで食べた時や、
麺類を食べる時に起こしやすくなります。
食事はゆっくり摂りましょう。
また、たくさん食べすぎると胃が膨らんで圧が上がり、
胃酸の逆流を引き起こしやすくなります。
食べすぎにも注意しましょう。
3)脂肪の多い食事は、食道括約筋をゆるめるホルモン(コレシストキニン)が
多く産生されるといわれています。
また、脂肪の多い食事は、肥満の原因にもなり、腹圧が上がりやすくなり、
やはり胃酸が逆流しやすくなります。
脂肪の多い食事を控え減量しましょう。
4)高齢者の場合、しばしば逆流性食道炎と狭心症を合併することがあります。
症状も、のどが焼ける感じで似ています。
枕元に水を用意しておき、こうした症状があったら、
すぐに水を飲んでみてください。
症状がやわらげば胃酸の逆流の可能性が高いと思われますが、
改善しなければ、すみやかに発作時の薬を服用したり、
心筋梗塞のことも考え急いで救急を受診してください。
5)服用薬(代表薬名:パリエット、ネキシウム、オメプラゾール等)で
症状がすみやかに改善した場合、
しばらくこの薬を服用していただくことは可能です。
しかし、8週間以内に治癒しない場合や、
休薬すると症状が再発するようなら、食道や胃の検査を受けてください。
<咽頭喉頭>