ポリヴェーガル理論とオキシトシン1

前回、「オキシトシンがしっかり分泌されると、
身体は安心・安全を感じて、
原則的には副交感神経優位となり社会性が育まれる様になります。」
という話をしました。

当院のブログを長年読んでくださっている方なら
(そんな方がいらっしゃるかどうかわかりませんが)
「安心・安全」と「社会性」というキーワードが
過去にも何回か出てきたなと気づかれたかもしれません。

それはおもにポリヴェーガル理論の話の時でした。
左のバナーにある検索で「ポリヴェーガル」と入力してみてください。

一般に自律神経は交感神経と副交感神経があり、
リラックスするには副交感神経が活性化する必要がある、
そんな風に理解されています。

副交感神経の中でもっとも重要な神経は迷走神経(X)です。
(カッコの中のXはローマ数字の10)
12本ある脳神経のうち迷走神経は第10番目の神経です。

迷走神経には、内臓からの情報を脳に集める求心性迷走神経と、
全身に情報を伝える遠心性迷走神経があり、
一般的に副交感神経と言えばこの遠心性迷走神経のことです。

ポリヴェーガル理論ではこの遠心性迷走神経を、
さらに背側迷走神経と腹側迷走神経の2つに分けて考えます。
おもにリラックスと関連のあるのが腹側迷走神経で、
これとは別に、生命の危機の時に
外界からの情報をシャットダウンすることによって
生き残ろうとして働く背側迷走神経があります。

この腹側迷走神経ですが、実際には
三叉神経(V)・顔面神経(VII)・舌咽神経(IX)・副神経(XI)
も含んだ5つの神経の複合体(腹側副交感神経複合体)として関与していると、
ポリヴェーガル理論では考えます。

この腹側迷走神経複合体がしっかり働くには
安心・安全が担保されている必要があるのですが、
その安心・安全感形成にオキシトシンが
一役買っているのではないかと考えられます。

次回に続く