まあ、なんか難しそうなことをダラダラ書きました。
図で説明できるといいのですが、僕もまだまだ理解しきれていません。
そんなものですから読まれた人はもっとチンプンカンプンでしょう。
(間違っているところがあればこっそり教えてください)
今回参考にしたのは、主に
羊土社 実験医学 vol.440 No.4 2022 3月号 『特集 RNAワクチンの先の基礎研究』
です。
オンラインでも見ることができる部分もあります。
前2回をまとめたような図も載っていますので参考にしてください。
また、他にも、
北海道大学 遺伝子病制御研究所 分子生体防御分野 髙岡晃教先生が
『自然免疫とウイルス感染』
という論文をネットで公開してくださっていて勉強になりました。
興味のある方は是非お読みください。
今回のこうした複雑な自然免疫のメカニズム、
普通の人にとっては、すべてを覚える必要はありませんが、
是非知っておきたいことを書いておきます。
1つは自然免疫は今まで非特異的な簡単な感染防御機構
と思われてきましたが、実は意外とRNAやDNAの種類や
その存在する場所によって、
特異的な認識パターンがあるということがわかってきました。
それも、ここ10年くらいの間に急速に解明されてきたそうです。
一本鎖RNAや二本鎖RNA、DNAなど核酸によって
反応する機構が違うということは、
ウイルスの種類によって防御機構が違うということでもあります。
たとえば、C型肝炎ウイルス(HCV)や日本脳炎ウイルスなどは
PKRとRIG-1と呼ばれるパターン認識受容体(PRRs)が
一本鎖RNA(+)のゲノムに反応するところから始まります。
これに対し、
麻疹ウイルスの場合はTLR2とRIG-1が一本鎖RNA(-)に反応。
ロタウイルスはTLR3が二本鎖RNAに、
アデノウイルスや単純ヘルペスの様な二本鎖DNAもまた
それぞれ別のPRRsが反応する・・・
という風に、ウイルスによって認識する受容体が異なっています。
まあしかし、ウイルスもしたたかで、
実はこうした防御機構をかいくぐる仕組みもあるようです。
RNAの中のウリジンをシュードウリジンという
よく似てる別の塩基に変化させたり、
メチル化という不活化がなされると、
PRRsは自己の核酸と外来の核酸を区別しにくくなるようです。
この性質を利用したのが、
今回のSARS-Cov2ウイルスのmRNAワクチンなんですね。
ウイルスのスパイクタンパクを合成するmRNAは、
周囲に脂肪の膜をかぶることで細胞に取り込まれやすくなりますが、
そのままだと細胞質に侵入した途端にPRRsに認識されて
すぐに分解されてしまいスパイクタンパクを作ることができません。
それが塩基の一部をウリジンからシュードウリジンに変えることで
しばらく細胞質内にとどまることができるようになり、
その間にスパイクタンパクが作られるのだそうです。
もう一つ覚えておいておきたいのが、、
昨日の記事に書いた、異所性DNAを認識・排除システムの一つ、
cGAS-STING経路です。
このcGAS-STING経路は、外来由来のDNAだけでなく、
自己DNAの異常にもに応答することから、
近年その経路の異常な活性化が、
多くの自己免疫疾患や神経変性疾患の原因となっていることなどが
次々とわかってきており、今、注目されている領域なのだそうです。