前回は、外からやってきたRNAや
細胞の中で要らなくなったRNAがどのようにして認識されるかを
中心にお話しました。
ではDNAはどうでしょうか?
異所性DNAと呼ばれるものとしては、
もちろん感染によって微生物からもたらされるDNAもありますが、他に
細胞が有糸分裂する際に微小核(micronucleus)と呼ばれる構造物が形成され、
その中には高度にメチル化(不活化)されたDNA(genomic DNA,gDNA)が含まれていて、
これが細胞質内で崩壊した際に出てくるものがあります。
また、細胞周期非依存性に細胞質に排出されるgDNAもあるらしく、
これは 細胞クロマチン断片(cytoplasmic cromatin fragments,CCFs)と呼ばれます。
あるいは、ミトコンドリアには独自のDNA(mtDNA)がありますが、
これも細胞内外で浮遊すると異所性DNAとなります。
これらの異所性DNAを認識する受容体(PRRs)には
・ cGAS(cyclic GMP-AMP synthese)
・ AIM2様受容体(AIM2(absent in melanoma 2)およびinterferon gamma inducible protein 16,IFI16)
・ Nod様受容体(特にNod-like receptor family pyrin domain containig 3 と、NLRP3)
と呼ばれるものがあるそうで、それぞれRNAと同様に役割分担がある様です。
dDNAはおもにcGASやAIM2によって処理され、
mtDNAは細胞質内に放出されたものはcGASやNLRP3が、
細胞質外に放出されえたものは飲み込まれ(ファゴサイトーシス)、
エンドソーム・エンドリソソームと呼ばれる構造物に蓄積され、
その構造物の膜に存在するTLR9によって認識されるます。
こうして、異所性のDNAが認識されると防衛機構が働きだします。
一つはDNA分解酵素DNaseがDNAをどんどんと分解していきます。
また、それとは別に抗ウイルス反応や自己修復のための応答も
いくつかの経路を経て始まります。
たとえば、TLR9が異所性DNAを認識した場合、
MyD88(myeloid differentiation factor 88)と呼ばれる
アダプタータンパク質依存性に下流の経路が活性化し、
NF-κB(nuclear factor kappa B)やIRF7(interferon regulatory factor 7)
といった転写因子が活性化され、
最終的にIL-6やTNF(tumor necrosis factor)などの
各種炎症性サイトカインやI型INFが産生される様になります。
これに対して、AIM2様受容体やNLRP3による認識の場合は、
ASC(apoptosis-asociated specklike protein containing a CARD)
というアダプタータンパク質が
プロテアーゼであるカスパーゼ1前駆体とともに
インフラマソームと呼ばれる細胞内免疫複合体を形成し、
カスパーゼ1が活性化された結果、
IL-1βやIL-18が細胞外に放出されるとともに、
細胞自体はパイロトーシスと呼ばれる細胞死を迎えるのだそうです。
また、cGASによって異所性DNAが認識された場合、
細胞質内でATPおよびGTPからcGAMPと呼ばれる
セカンドメッセンジャーが生成されます。
このcGAMPは小胞体内に局在するSTING(simulator of interferon gene)
と呼ばれるタンパク質に結合することで活性化し、
NF-κBやIRF3を介してI型INFが産生されたりして、
炎症シグナルの急速な伝搬と炎症反応のが促進されるのだそうです。
このcGAS⇒cGAMP⇒STING結合のルートを
cGAS-STING経路と呼びます。
このブログは僕の備忘録も兼ねているので
雑誌を読みながら書いてみましたが、
何が何だかごちゃごちゃになってしいましたね。