COVID-19に関する論文・記事2 

次はこれ:
腸内細菌叢がLong-COVIDと関連がありそうなら、
口腔内細菌叢も関連があるかも、
と思っていたら・・・こんな論文を見つけました。

”Inflammation-type dysbiosis of the oral microbiome associates with the duration of COVID-19 symptoms and long COVID
(口腔微生物叢の炎症型腸内毒素症は、COVID-19症状の持続期間と長いCOVIDに関連しています)”

出典はJCI insightという雑誌 August 17, 2021
マサチューセッツ大学からの報告です。

と言いながら・・・
この論文ではたくさんの図がアップされているのですが、
今一つ理解しきれていません。
そこで、とりあえず概要だけを紹介。
ご興味を持たれた方は原文をお読みください。

この論文では164名の人が登録して、
その中でCOVID陽性が84名になりました。
亡くなった人、フォローできなくなった人を除外していくと、
最終的に27名が研究の対象となりました。
13名が進行中(4週間以内)で、14名が4週以上経過していて、
そのうち10名が10週を超え、Long-COVIDとされました。

これらの患者さんの口腔内の細菌叢を調べたところ、
ベイオネラ(Veillonella)属とプレボテラ(Prevotella)属が
関連があるとわかったそうです。

ベイロネラはIL-6を誘導する強力な能力を示していおり、
プレボテラは主にTLR-2を活性化し、IL-23やIL-1などの
炎症性サイトカインの発現を増強するそうです。
つまり身体に炎症を起こさせやすいわけです。

こうした菌はLPS(リポ多糖)を多く産生するため、
炎症を引き起こしやすい様です。

ここでLPSをネットで調べかけたのですが、
ネットではLPSは身体にいいというサイトがありますね。
マクロファージを刺激して自然免疫を活性化させるのだとか。
LPSについては当院のブログでも何回か出てきたので知っていますが、
発熱物質であったり、菌の細胞壁の構成物というイメージで
どちらかと言うと悪いイメージだったので、
なんか真逆の話で頭が混乱してます。
種類によるのか、量の問題なのか?
詳しい人がいらっしゃったらご教授ください。
ともあれ、ここではLPSが悪い方に働くのでしょう。

また、上記のような細菌は
分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝とも関連があるようです。
分岐鎖アミノ酸、中でもL-イソロイシンとL-ロイシンは
抗炎症活性を示しすそうですが、
COVID-19進行中の患者さんではこれらが減っているのだと。

そういえば、Long-COVIDの患者さんが
「BCAAがいいらしいので飲んでいる」と言ってました。
(最近は患者さんの方がよく知っています)
これですね。