先日ツムラのMRさんが来院されたときに
面白そうな話題を持ってきてくれました。
>COVID-19、腸内細菌Collinsella属が感染と重症化を予防する可能性-名大
記事は”QLife Pro”と呼ばれる医療総合サイトです。
そしてこの記事の元ネタは、
「PLOS ONE」というサイトのこの記事です。
>Intestinal Collinsella may mitigate infection and exacerbation of COVID-19 by producing ursodeoxycholate
世界的に猛威を振るってきたCOVID-19ですが、
死亡率は、アジアよりアメリカ・ヨーロッパで高い傾向にあると言われています。
特に日本は台湾や中国ほどではないにしてもかなり少ないと思われます。
この違いは何なのか。
ファクターXとして原因がいろいろ推測されてきました。
BCGワクチン接種率、過去に類似のコロナウイルスへの暴露歴、
生活習慣の違いなどが提唱されてきましたが、
ここで名古屋大学のチームは腸内細菌に注目しました。
腸内細菌といえば、約2年前COVID-19が流行しだした頃に、
奇妙な説が流れました。
ちょうど腸内細菌にも興味を持ち始めた頃だったので、
その記事については当院のブログでも取り上げたことがあります。
>新型コロナ感染症とマイクロバイオータ2
>新型コロナ感染症とプレボテラ菌?1
つまり、新型コロナ感染症を重症化させるのに、
プレボテラ菌という腸内細菌がからんでいて、
SARS-CoV-2ウイルスに感染すると、
プレボテラ菌が増殖して、それが肺を中心として
炎症をひどくさせるのではないかというものでした。
こうした考え方から、
COVID-19に罹ったと思ったら抗生剤を飲め、
みたいな情報が一時ツイッター等で流れたことがありました。
これに対しては、
SARS-CoV-2ウイルスは細菌には感染しないことがわかっており、
否定されています。
>Non, ce n’est pas la bacterie Prevotella qui tue les patients du Covid-19
まあそんなわけで、
COVID-19と腸内細菌は関連ないのかなと思っていたのですが、
今回の名古屋大学チームの論文は発想が逆でした。
次回に続く