前回に続いて、
『美術の窓』という雑誌の「耳にこだわる」という特集についてのお話。
特集の後半には、先日までホキ美術館で行われていた企画展:
「STORIES-永遠の人物画展」
で出展されている作家の作品がピックアップされています。
そして、それぞれの作家の耳についてのコメントが面白い。
島村信之さんのコメント:
”人物画を描くとき、(中略)顔の中の部位では主役は「目」になるかと思いますが、耳は脇役と言うよりも空気とか黒子の様なもので、エキストラみたいな存在でしょうか。なにげに重要な役割でありながら、あまり目立ってはならない存在であり、時に絵のイメージを左右しかねないことから、作家の力量が意外にも集約された部分でもあるのではと感じます。(p.47)”
また、後半に画家 町田久美さんのインタビューが載っています。
耳にまつわるイメージから描かれた絵が印象的です。
客員教授をされている多摩美術大学のHPに
町田さんの作品「雪の日」がアップされています。
この作品では、寒い日に耳と口を隠した人の絵が描かれていて、
さらに胸のポケットからウサギの耳が出てきています。
「コミュニケーションの拒絶」を耳を隠すことで象徴しているのだとか。
インタビューから:
”この人物の耳は耳あてで閉ざされているのに、胸ポケットから飛び出ているウサギの耳をいじっている。「周りの言葉をすごく気にしてしまうけれども、自分からは言葉を発することはせず閉じこもってしまう」ということを表現しています。”(p.58)
なるほど!
逆に、町田さんの作品「ことほぎ」は
隣り合う二人が耳を合わせている絵で、
繋がりたいとう感情を表しています。
これもとても印象的な絵です。
その他にも「耳」に関する美術の話が10月号に載っています。
生活の友社さん、機会がありましたら「鼻」についても特集をお願いします。