秋も深まってまいりました。
秋と言えば芸術の秋・・・ですが、
新型コロナ感染症が流行してから
美術館・展覧会にもなかなか行きづらいところです。
先日、本屋さんで何か面白い本がないか物色していた時に
一つの雑誌に目がとまりました。
『美術の窓 No.457 2021年10月号』,生活の友社
(もう11月号が出ている様ですが)
10月号の特集は「耳にこだわる」。
まずは名画の「耳」を観察!
クラーナハ、カラヴァッジョ、レンブラント、ドラクロワ、
ゴーギャン、マネ、スーラ、
岸田劉生、河鍋暁斎、菱川師宣、葛飾北斎・・・などなど
僕でも知っている様な画家の作品の中から
耳が描かれている作品について簡単な解説がされています。
そのあと、耳についての特に解剖学的な解説があります。
僕たち耳鼻咽喉科医は毎日患者さんの耳を見ていますが、
他の顔のパーツとの相対的な位置関係などには
あまり注意を払っていません。
耳の形にも個性・・・大きい小さい、耳たぶ(耳垂)の形など、
人によって少しずつ違うのは知っていますが、
先天性耳瘻孔以外はほとんど気にしません。
ただ、一つちょっと気にとめているサインはあります。
耳たぶに斜めに切れ込みのシワを持っている人が時にいらっしゃいます。
Frank ‘s sign(フランク徴候)というもので、
皮膚のしなやかさを作る弾性線維が減ってくると出てくるらしいのですが、
血管のしなやかさも減っているらしく、
こういう人は動脈硬化症が進んでいるらしく、
冠動脈疾患の危険もあるそうです。
↑詳しくは、New England of Journal of Medecine March 6, 2014
をご覧下さい(無料アカウントが必要かもしれません)。
話が脱線してしまいましたが、
『美術の窓』では耳を描く時のポイントが詳しく書いてあります。
☆耳介と頭部との関係をよく見る
⇒耳の位置や大きさで印象が大きく変わるそうです
☆耳輪・内側の対輪・耳甲介の3つのパーツを意識
⇒バランスを考えて描く必要があるそうです
☆耳の色と髪の毛の関係性にも注意が必要
人物画を描く画家の皆さんって、
こういうことにも注意を払っていらっしゃるんですね。
次回に続く