昨日からのつづき
ナショナルジオグラフィック:
『ミミズのような線虫も音を聞く、驚きの仕組みが判明、定説覆す』
と、その記事の元になった論文:
”The nematode C. elegans senses airborne sound”
から考察を続けています。
今回、僕がこの記事を読んだ時に真っ先に思ったのは、
この線虫で生じている聴覚に相当する現象って、
ハイパーソニック・エフェクトに関係あるんじゃない?
ということでした。
ハイパーソニック・エフェクトについては、
もう7年も前になりますが、大橋 力先生の
『音と文明 音の環境学ことはじめ』
という本を読んでブログに書いています。
>本の紹介:音と文明
ハイパーソニック・エフェクト:
人間に音として聞こえる空気振動の周波数の上限は、普通の人では16キロヘルツ(1kHz=16,000サイクル/秒)くらいで、20kHzをこえる人は稀です。ところが、この地球上には、こうした人間の可聴域上限をはるかにこえ複雑に変化する超高周波成分を含む音があります。バリ島のガムラン音楽の音や熱帯雨林の環境音などがそのめざましい実例で、100kHzをこえるほどの超高周波を豊かに含んでいます。こうした音を浴びている時、快感の発生を担当している〈報酬系神経ネットワーク〉を含み、人間の脳機能のコアになっている〈基幹脳〉が活性化するという現象を大橋 力博士らは見出しました。
(芸能山城組ホームページより)
こうした人間が普通では聴くことのできない音を
可聴音と一緒に肌で感じていると基幹脳が活性化して、
自律神経系や内分泌系、免疫系などが活性化され、
心身共に健康になる効果がある・・・
発表当時、こうした効果に疑問をもつ人もいて論争となった様です。
その後、効果の方が強調されすぎて、
ヘルスケア領域でさかんに取り上げられる様になりました。
ただ、この効果についてのメカニズムについては
まだまだナゾの部分が多いのではないかと思います。
今回この記事を書くにあたって、ネットでの範囲ではありますが、
あらためてハイパーソニック・エフェクトについて調べてみたのですが、
この現象に対して脳の変化を分析するような研究はありますが、
皮膚での音の感受のメカニズムに迫るようなものは中々見当たりません。
まあ、今回の「線虫の体表に聴覚がある」という話は、
周波数が100-5000Hzという普通の可聴域であり、
ハイパーソニック・エフェクトの20000Hzを超える高周波に
そのまま当てはめることはできません。
でも、ひょっとしたら何か類似点がないのかな、
と、素人的には思ってしまいます。
また、「身体の感覚が脳に伝わり、自律神経に影響を及ぼす」
という観点から考えると、
体表の感覚と内臓の感覚の違いはありますが、
求心性迷走神経 (内臓⇒脳) の関与する、
ポリヴェーガル理論で言うところのニューロセプションとも
通じるところがある様に思います。
身体の各臓器間の相互関係というのは、
脳腸相関でもそうですが、
最近になって急に色々なことがわかってきました。
皮膚と脳と耳もいろいろな相関があるかもしれません。
更なる研究成果が待ち遠しいところです