腸内細菌と社会性1 

前々回、ポリヴェーガル理論についておさらいをしました。
これは前回紹介した『「安心のタネ」の育て方』という本
紹介するための伏線でもあったのですが、
もう一つ話題にしたい話があったからでした。

まずは次の記事:
腸内細菌を持たないマウスが「ボッチ」になる理由が明らかに

出典はナゾロジーという科学系のWebサイトです。
ナゾロジー(トップページ)

以下、一部転載します(文の改行は僕が変えました):

”通常のマウスは見知らぬマウスに出会うと、
顔を嗅ぎあいながら、互いの体によじ登ろうとします。

この儀式はマウス流の「はじめまして」として知られています。

しかし奇妙なことに、完全な無菌環境で育ったマウスや、
強力な抗生物質のせいで腸内細菌を失ったマウスは、
このマウス流「はじめまして」ができません。

他のマウスが挨拶のために近寄ってきても、
距離を保つための回避を繰り返し、結果「ボッチ」になります。

この事実は、マウスが腸内細菌を失うことで
社交性まで失ったことを示しています。
(中略)
腸内細菌がないとなぜ社交性が失われるのか?

謎を探るために研究者たちはまず、
腸内細菌を持たないマウスたちの血中成分を調べると共に、
脳活動の尺度となる遺伝子(c-Fos)の発現量を調べました。

結果、腸内細菌が存在しないマウスの脳では、
視床下部・偏桃体・海馬などストレス反応に関与する領域の活動が
活性化していると判明します。

またこれらの領域が活性化するたびに、
副腎から分泌されるストレスホルモン(コルチコステロン)の量が
急上昇することが確認されました。”
(転載終わり)

そのあと元論文には、
マウスから副腎を取り除いたり、
薬でストレスホルモンを効かなくさせたりしたところ、
社交性を回復させることができたとあります。

再度ナゾロジー記事から:
”どうやら腸内細菌のいないマウスでは
常にコルチコステロンの生産命令がオンになっており、
ストレス漬け状態にあるようです。
(中略)
研究者たちは、腸内細菌が何らかの方法で脳に作用して、
コルチコステロンの生産命令を抑制していると結論しました。”

ではなぜ腸内細菌がいないと
ストレスホルモンが過剰になるのでしょうか?

少し長くなったので続きは次回。