前回からの続きです。
nature電子版に載っていたLong-COVIDについての
4つの疑問を見ていきましょう。
1)どういう人がLong-COVIDになるか?
初期の有病率調査のほとんどは、
急性COVID-19で入院した人々のみを対象としていたそうです。
それによれば、患者の32.6%から87.4%が、
数か月後に少なくとも1つの症状が持続するという報告がありました。
しかし、COVID-19に感染しているほとんどの人は、
入院するほど病気になることはありません。
そこで、英国国家統計局(ONS)は、
2020年4月以降に陽性と判定された20,000人以上を追跡したところ、
13.7%が何らかの症状を有していたとのことでした。
つまり、10人に1人以上ということ。
この状態は男性よりも女性に多く見られる様です。
別のONS分析では、女性の23%と男性の19%が、
感染後5週間も症状を示していたそうです。
これは英国レスター大学の臨床医科学者であり、
入院後のCOVID-19研究(PHOSP-COVID)のメンバーである
レイチェル・エバンス氏によれば,
男性の方が重症化しやすく死亡率が高いため、
生き残った女性に多いのではないかとのこと。
さらに、そして、若い人たちではLong-COVIDはまれですが、
それがないという意味ではなく、
2~11歳の子どもでも少なくとも5週間後に症状が残っている
子どももいると、警鐘を鳴らす人もいるそうです。
ではなぜ10%強の人でLong-COVIDが生じるのか?
これは次に疑問へとつながります。
2)Long-COVIDが生じる生物学的機序は?
Long-COVIDの多くは複数の臓器に問題があることがわかっており、
多系統障害であることが示唆されています。
エバンス氏によると、
ウイルス自体がまだ機能している可能性は低いとのことです。
しかし、タンパク質分子などのウイルスの断片が残っていて、
細胞に感染できなくても、
何らかの方法で体を破壊する可能性はあるそうです。
その他、Long-COVIDは自己免疫疾患だという可能性もあります。
どの仮説が正しいかを言うのは時期尚早であり、
いくつかのメカニズムが機能していると考えているため、
ある人のLong-COVIDは別の人のものとは
大きく異なる可能性があります。
英国国立健康研究所(NIHR)のレビューによると、
Long-COVID症状は多くの異なる症候群に起因する可能性がある
とのことでした。
続きは次回。