『ドレミファソラシは虹の七色? 知られざる「共感覚」の世界』 伊藤浩介,光文社新書
共感覚と言うのをご存知ですか?
音を聴いた時に色を感じると言う人がたまにいらっしゃる様です。
他にも文字から色を感じるという人もいるそうです。
要はザックリ言えば、
何か対象を本来の五感で感じた時に、
異なる感覚で感じることが出来る能力のことです。
「共感覚とは、音や文字に色を感じたり、色から音を感じたり、味から形を感じたりする現象のことで、共感覚を持つ人を共感覚者という」(p.38)
比較的稀なんだそうですが、
(実際には定義によっても割合はかなり変わってくるそうです)
その中では多いのは、
上に書いた様な音を色として感じる共感覚の持ち主が多い様です。
僕は全く共感覚は持ってません。
うちの嫁さんは絶対音感は待っているみたいですが、
やっぱり共感覚は持っていません。
嫁さんの友達は持っているそうです。
絶対音感はちょっと憧れますが(笑)、
ただ、ドレミの歌を歌う時などに、実際にはハ長調でなかったら、
ドはドーナツのドと言いながら、実際には違う音高になるので、
それはそれでめんどくさいと言うようなことを
どこかで聞いた様な気がします。
ま、それはそれとして、
共感覚というのものも何となくちょっと憧れます。
子どもの頃に超能力に憧れた、あれとおんなじですね。
でも、本人としたらやっぱり面倒くさいこともあるらしく、
この本に書いてましたが、
テニスをしようとしたら、黄色いテニスボールが、
ラケットに当たる時には音が青色に見えるらしく、
競技に集中できないという様なこともあるそうです。
で、この共感覚、人それぞれで個人差があり、
例えば音に関して言えば、
「ド」の音を赤と答える人が多いそうですが、
他の色を答える人もたくさんいるそうです。
同様に「レ」は黄色と答える人が多いけれど、
赤や空色と言う人もいるそうです。
ただ、そうした個人差を統計的に処理して全体像を眺めると、
何と、ドレミファソラシが「赤 黄 緑 茶 青 紫 薄紫」と、
(微妙に違う部分もありますが)
およそ虹の配色と似ていることがわかったそうです。
実は、これははっきりと共感覚を意識していない人でも、
無理やり音に色を当てはめさせても、
概ね同じような結果がでるのだそうです。
何故、そんな現象が起こるのか?
ここから筆者は膨大な、それこそ「色々な」資料をもとに
この現象を推察していきます。
これはある種、ミステリーを読むような感覚かもしれません。
その結果、筆者はある仮説を導き出しました。
確かになるほどと思わせるものではありますが、
現象は心理学的な問題でもあり、
中々正確な結論は出ないそうで、
筆者も教科書と言うより、ある種の娯楽的な読み物として
この本を読んで欲しいとあとがきに書かれています。