本:腸内フローラ 10の真実 

前回、
『感染を恐れない暮らし方』という本について書きましたが、
この本の中で特に腸内細菌についての話が
詳しく書かれていました。

僕も現在興味を持っていることの一つに腸内細菌があります。
耳鼻咽喉科医にとって腸内細菌は一見関係がなさそうですが、
ひょっとしたらそのうち何か出てくるんじゃないかと
密かに期待しています(笑)。

まあ、腸内細菌にとどまらず、
鼻咽頭や扁桃にも常在菌がいるでしょうから、
今後何か重要な働きがわかってくるかもしれません。

実際、口腔内の細菌叢については、
動脈硬化や心・脳血管性疾患との関連が指摘されています。
(残念ながら口腔外科領域での報告が多い様ですが)

まあ、そんなもんですから、
「腸内細菌」とか「マイクロバータ」とか、
「腸内フローラ」という文字を見かけるとすぐに飛びついてしまいます。

そんなもんで、今回手に取ったのがこの本。
『腸内フローラ 10の真実』 NHKスペシャル取材班著,主婦と生活社

この本は、
NHKスペシャル「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」
を本にしたものですが、放送は2015年2月22日で、
なんともう6年も前なんですね。
NHKがこの企画を考えたのはさらに2年前の2013年の秋だとか。

アンテナにひかからない時には全然ひかからないもんなんですね。
だから、腸内フローラについて知っている人にとっては、
もう当たり前の話なのかもしれません。

簡単に目次を上げておきます。

第1章「腸内フローラ」で、やせる!若返る!病気を防ぐ!
第1章は腸内フローラと病気の関係の話:
・「腸内フローラ」の真実1 腸内フローラしだいで”やせ”にも”肥満”にもなる?
・「腸内フローラ」の真実2 糖尿病は”腸内フローラに効く薬”で治せる?(p.40)
・「腸内フローラ」の真実3 腸内細菌が作る物質「エクオール」は、お肌を若返らせる?
・「腸内フローラ」の真実4 腸内細菌には、がんを”防ぐ菌”と”引き起こす菌”、どちらもいる?
・「腸内フローラ」の真実5 腸内細菌が”謎の動脈硬化”を引き起こす?
・「腸内フローラ」の真実6 花粉症やアトピーなどのアレルギーを腸内細菌が防いでくれる?
・「腸内フローラ」の真実7 腸から細菌の毒素が”漏れる”と万病のもとになる?

第2章 「腸内フローラ」で、心を守る! 脳を助ける!
第2章は脳腸相関の話:
・「腸内フローラ」の真実8 あなたの性格はあなたの腸内フローラが決めている?
・「腸内フローラ」の真実9  腸内細菌が脳に”話しかける”ことで、うつ症状が改善する?
・「腸内フローラ」の真実10 自閉症にも腸内細菌が関わっている?

第3章 「腸内フローラ」と「人体」の不思議な関係
第3章はもう少し大きな視点で腸内細菌と人類について
腸内フローラの細菌たちは、
私たちの健康を支えてくれるパートナーであるだけでなく、
私たちの遠いご先祖様の代から友に支え合って生きて生きた
人類全体のパートナーだった。

第4章 ”理想の腸内フローラ”を求めて
キーワードは「多様性」。

以前、このブログで『腸と脳』という本について
15回にわたって詳しく書きました。
本:腸と脳 第二の脳がもたらすパラダイムシフト1 腸はスーパーコンピュータ

ですので、ある程度はおさらいの様なものでしたが、
いくつか知らないことがあり勉強になりました。

特にIgA抗体が腸内フローラの恒常性維持に役にたっている
ということと、そのメカニズムについてよく分かりました。