昨日からの続きです。
次に教育講演がありました。
演題:「民間伝承から考察する眠りーむかしの夜泣き対策法」
講師は静岡県社会人体育文化協会事務局長代行・元日本民俗学会会員、静岡県文化財団/静岡の文化新書編集長 八木洋行先生
あかちゃんの夜泣きはお母さんにとってつらいもの
細切れの睡眠、ノイローゼや育児放棄になるお母さんも。
どうして生まれたての赤ちゃんは夜泣きをするのか?
一説には、お腹の中にいるとき、
母胎が眠ると胎児の血流が増加、その結果赤ちゃんは元気に。
また、赤ちゃんにはまだ昼夜のサイクルができていないため、
修正のための夜泣きだとか。
近代医学でもなかなか夜泣きをよくする方法はないらしい。
寝かせるよりも一度起こしてしまう方がいい。
安心させるとまた眠る。
民間伝承による夜泣き封じ
<夜泣き貝>
キセル貝の一種、ヨナキガイと読んでいる所もある
これをとってきて赤ちゃんの枕元におくと夜泣きが止む。
大国魂神社のイチョウの根本のキセル貝を煎じて飲めば
母乳の出がよくなり、この母乳を飲めば夜泣きが止む。
なぜイチョウか?
木根=乳の形に似ていて、切ると乳に似たものが出る
乳の出をよくする信仰に結びついたのではないか。
このキセル貝を用いた民間薬があって、 カンニャボとも呼ばれている
肝臓の薬としても使うが、赤ちゃんに飲ませるとよく眠る。
⇒イチョウの根元に何故貝が?と思ったら、
カタツムリの仲間なんですね。
ネットで「カンニャボ」を調べてみたらすぐに出てきました。
「医者いらず貝」と言うらしい。
”カンニャボにはカルシウム、グリコーゲン、タウリンが豊富に含まれています。”
とのこと。
⇒肝臓の薬とありますが、漢方で「肝」は肝臓と同時に
イライラとも関連があります。
小児の「疳の虫」も同じ発音で関連があるのかも。
海にも「ヨナキガイ」と呼ばれる巻貝の一種がいる。
「ナガニシ貝」の仲間 広島
夜泣きするとその肉をたべさせた。
苦みが夜泣きを停めるのではないか。
貝を食べたあとに空洞をふくとポーポーという音が出るが
この音で夜泣きが止むと伝えられている。
⇒こちらもネットで調べてみますと出てきます。
こちらは身を食べる様ですが、肝がかなり苦いらしい。
講師の先生も苦みで目が覚めるのではないかとおっしゃってました。
<夜泣き石>
全国に「夜泣き石」と呼ばれるものが多数あるが、
静岡県掛川市の小夜の中山の夜泣き石が有名。
歌川広重の東海道五十三次の日坂にも出てくる。
この中山というところで、妊婦のお母さんが急に病気になった。
通りかかった人が介抱しようとしたところ、
多額のお金を持っていることに気づき、
お母さんを殺害し奪って逃走。
そこで赤ちゃんがうまれてたのだが
近くにあった丸い石が代わりに泣いて助けを求めたところ
近くのお寺の和尚さんが気がついて赤ちゃんを保護し
飴をなめさせて育てた、という伝説があるそうです。
他にも夜泣き石の伝説は各地にあるそうで、
千葉県館山里見公園には、里見城落城の際に
お姫様が丸い石の上に伏せる様にして泣きながらなくなったところ、
その丸い石から毎晩泣き声が聞こえるようになった。
それを旅の武士が弔ったところ泣き声は止み、
それ以降、赤ちゃんの夜泣きに苦しむ人が
この石にお参りするようになったんだと。
ところで、上述の中山のお寺というのは実在していて、
久延寺というお寺だそうです。
そこで観音様が母親に姿を変えて寺の水飴をなめさせたとか、
お寺の和尚様が子ども飴で育てたとか、
そういった言い伝えがあるらしく、
この日坂では水飴が「子育飴」という名物として売られています。
⇒この夜泣き石にまつわる「子育飴」ですが、
もち米と麦芽からなる麦芽糖を煮詰めた水飴です。
この講演の座長の佐宗先生もおっしゃってましたが、
漢方の中に、女性や不眠症、子どもの夜泣きやひきつけなどに
用いる処方として
「甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)」というものがあり、
これによく似た作用があるのではないかとのこと。
⇒確かに甘麦大棗湯の構成生薬は、
小麦・大棗(なつめ)・甘草です。
かなり甘そうで、生薬数も少なく速効性も期待できます。
佐宗先生も、夜泣きする赤ちゃんだけでなく、
お母さんもなめることでストレスの緩和になっていただろうと
おっしゃっていました。(まさに母子同服ですね)
ちょっと長くなったので続きは明日