新型コロナ感染症とマスク

前々回に、ウイルスが身体に侵入してきた際に、
インターフェロン(特にINF-I)が産生され、
自然免疫でウイルス駆除が行われる。
ただ、最初の暴露量が多いとINFの産生が遅れて、
ウイルスを駆除しきれずに長い間INFやそれに伴う
サイトカインの産生が続くため重症化しやすい、
という話をしました。

これって、よく考えるとマスクの予防効果の裏付け
なんじゃないでしょうか?

昔から、インフルエンザの予防などにマスクをしましょう、
と言ったことがいわれていました。
そうしたこともあって、特に日本人はウイルス感染の予防として
マスクをする人も多かったのではないかと思います。

ところが、WHOは当初、「感染予防にマスク着用は不要」
などという対応をしました。(Yahooニュース)
↑WHOの当初の指針を探したのですが見つかりませんでした。

それに対して、
WHO、マスク指針を大転換 密接場面での着用を推奨
(BBC NEWS JAPAN)
WHO、マスク着用の指針を変更(日本WHO協会)
Advice on the use of masks in the context of COVID-19
と、WHOの方針も変更となりました。

まあ、完全に飛沫を遮断できるわけではないかもしれませんが、
前回の記事の様に、暴露するウイルス量が少なかったら
生来持っている自然免疫でうまく排除されるか、
罹っても軽症ですむ可能性があると
考えていいのではないかと思います。

かく言う僕も、3月末までは、
「マスクは罹らないためにするものではなく、人に移さないためのもの」
と言ってマスクもしていませんでした。
(耳鼻咽喉科の患者さんはきこえの悪い人が多いため)

ですが、マスク・ゴーグルをしていないと、
濃厚接触者と見なされる怖れがあったり、
発症前からウイルスは排出されているということがわかってきたので、
自分では症状がないから大丈夫と思っていても、
あとから罹ってました、では困るので
4月からは常時着用する様にしています。

この論文から考えると、感染の予防効果(というか、
罹ったとしても軽症で済む効果)もありそうなので、
当面マスク・ゴーグルを装着して診療を続けるつもりです。

まあ、そんなものですから、
久々に当院を受診された方はものものしい格好に
驚かれるかもしれませんが、どうぞご容赦下さい。