昨日と同じく、日経メディカルに載っていた記事に
紹介されていた腸微生物細菌叢と身体に関する論文です。
The Gut, Its Microbiome, and Hypertension
腸、その微生物叢、および高血圧
Elaine M Richards, Carl J Pepine, Mohan K Raizada, Seungbum Kim
(Richards EM. et al. Curr Hypertens Rep 19: 2017.)
高血圧は、世界的に健康と経済に多大な負担をかけます。
残念ながら、ライフスタイルの変更、新しい治療法、
集中的な医学的介入にもかかわらず、
高血圧患者の約1/3は「治療抵抗性」高血圧(RHTN)なのだとか。
(僕はこのあたり専門でないので、
そんなに多いのかどうかはわかりません)
RHTNには効果的な治療パラダイムが緊急に必要であり、
このレビューでは、高血圧の病因の最近の進展を強調し、
腸の役割に焦点を当てています。腸内微生物群集は、
宿主の正常な生理的恒常性を維持する上で
重要な役割を果たします。
腸とその内容物が血圧に影響を与えるという考えは、
疫学研究から半世紀以上にわたってあります。
これらの研究では、高血圧の危険因子として、
塩分とアルコールの摂取、炭水化物摂取増加に関連する高血糖、
食物中の繊維の欠如などが報告されています。
これらの共通の要素は、食事要素と身体です。
腸内微生物叢は、血圧管理に重要な独自の代謝物を生成します。
腸内細菌は、体の短鎖脂肪酸(SCFA)の唯一の供給源です。
それらは主に酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩であり、
腸内細菌叢による食物繊維の消化に由来します。
SCFAは、腎臓、心臓、交感神経節、血管の嗅覚受容体結合し、
血圧を調整します。
SCFAは上皮バリアを維持して炎症を軽減し、
免疫細胞に直接影響を及ぼし、交感神経活動を低下させます。
つまり、食物繊維の豊富な食事は、
腸内細菌叢がはたらきSCFAが産生されるので、
これが免疫系、上皮、神経系および血管機能に影響を及ぼし
血圧を調節すると考えられるそうです。