人間の腸内細菌叢の老化の進行

昨日まで、『腸と脳』という本の話をしてきました。
まだ第1部が終わったところなのですが、
ここで5月18日のブログ:
新型コロナウイルス情報2 マイクロバイオータ
の話に少し戻ります。
(日経メディカルオンラインの中の話なので、
直接みられない方もいらっしゃるかもしれません。)

要は、新型コロナウイルス感染症の問題点として、
重症化をいかに防ぐかということがあります。
なぜ一部の人にのみ第2相が起こるのか?
第2相はウイルスの直接的な攻撃や
続発的に生じる細菌感染ではなく、
免疫細胞が分泌するサイトカインが、
免疫系を刺激して正常な細胞にまで攻撃をしてしまう
からだと言われています。(サイトカインストーム

このことに参考になるのが、
マイクロバイオータではないかと
記事の徳田先生は考えられています。

とりあえず、日経メディカルに引用されていた論文を、
ざーっと読んでみました。
あまり英語が得意でないし、読むのも遅いので、
Google翻訳を用いて読んだので、
間違っていたらすみません。
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Aging progression of human gut microbiota
人間の腸内細菌叢の老化の進行
Congmin Xu, Huaiqiu Zhu & Peng Qiu
(Xu et al. BMC Microbiology 19: 2019.)

人間の腸は、100兆以上の微生物を具現化する生態系として、
人間の健康に重要な役割を果たしています。
人間の腸内微生物叢の加齢に伴う変化は、
いくつかの研究によって明らかにされています。
たとえば、
・ビフィズス菌は年齢が上がるにつれて減少
・加齢に伴ってバクテロイデス、ユーバクテリウム、
クロストリジア科の割合が増加 等

この論文では、生まれたばかりの赤ちゃんから
百歳までのさまざまな年齢層のヒト腸内微生物叢を
サンプルとして、遺伝子配列を分析することで、
腸内微生物叢の加齢に伴う進行に関連する細菌属を特定しました。

その結果、腸内細菌のグループには、
主に2つの傾向がみられたそうです。それは、

1)ある程度の年齢までは、加齢とともに相対的な割合が増えるが、
超高齢になると急に減ってしまうグループ
2)年齢とともに相対的な割合が増え続けるグループ
です。

1)のグループとしては、
・Lactobacillus:乳酸菌、共生する腸内細菌(プロバイオティクス)の代表
・Oscillospira:肥満の被験者と比較して痩せた被験者が豊富であると頻繁に報告されていて、繊維を分解するヒト腸内微生物叢の中心
・Oxalobacter:腸内のシュウ酸塩を分解
・Prevotellaceae:動物性脂肪が少なく炭水化物が多い食事を維持している人々の胃システムで多くに見られる。パーキンソン病の人には少ないという報告もある
・Parascardovia:ビフィズス菌の属で、宿主に健康増進効果をもたらす
・Butyrivibrio:酪酸産生細菌。酪酸は結腸上皮細胞の好ましいエネルギー源であり、ヒトの結腸の健康を維持する上で重要な役割を果たす

2)のグループとしては、
・Parvimonas:結腸直腸癌患者で豊富
・Anaerotruncus:加齢性黄斑変性症の患者で比較的豊富
・Corynebacterium:自閉症スペクトラム障害の人の腸でより豊富
・GCA-900066225:ラクノスピラ科の1つ。潰瘍性大腸炎、クローン病、セリアック病、および宿主のストレスに関連していると報告されている
・Desulfovibrio:硫酸塩を電子受容体として使用して硫化水素を生成し、これらの硫酸塩還元菌は炎症に積極的に関連
・Bilophila:マウスの実験で全身性炎症を引き起こしたという報告
・Odoribacter:動物実験で担腫瘍マウスで増加
・Butyricimonas:身体活動スコアが著しく低い被験者に多い
などがあります。


つまり、人間の腸内細菌叢は、加齢の進行に伴い、
善玉菌は減っていき、
身体に何らかの悪影響を及ぼす可能性のある菌が
増えてくるということですね。