目黒寄生虫館

前回、太田記念美術館での肉筆浮世絵展の話をしました。
この美術展を見終わったら次にどこに行くか。

山手線で目黒駅を通りかかった時にひらめきました。
そうだ!目黒に行こう!

もともとはホテル雅叙園東京に行こうと思ったんです。
この雅叙園には「百段階段」という文化財があって、
ここではいろいろな企画展がもよされています。

「目黒の雅叙園に行ってみるわ。」
そう嫁さんに言ったら、
「目黒に行くなら、あなたにピッタリな場所があるわよ!」
と言って、教えてくれたのが、
”公益財団法人 目黒寄生虫館”でした。

その昔、学生時代、臨床につながる基礎医学として、
寄生虫学を習った時に、気合いを入れて勉強したら、
たまたま優秀な成績がとれて、
以後しばらく「寄生虫の板谷」と呼ばれることがありました。
↑本当は「寄生虫の板谷」ではなく、
せめて「寄生虫学の板谷」と呼んで欲しかった・・・

まあ、それはともかく、そんな話を昔、
娘にもしたことがあったらしく(単なる自慢ですな)、
娘がそれを覚えていて、目黒に寄生虫について詳しい所があると、
嫁さんに教えてくれていたらしいのです。

というわけで、前振りが長くなってしまいましたが、
行ってきました、目黒寄生虫館。
paracite1

玄関入ったら、いきなり寄生虫の標本瓶が並んでいました。
paracite2

あれ?受付は?
と見渡しましたが、どうもとりあえず入場無料の様です。
(入場者に寄附を呼びかけてありました)

衛生状態がよくなって日本では寄生虫はかなり減ってきましたが、
世界中では今でもたくさんの寄生虫を原因とする病気が
蔓延しており、亡くなるかたも方もまだまだたくさんいます。

また、日本でも温暖化の影響や、
海外から人も物も入ってきますので、
油断していると時々思いがけない病気が出てきます。
寄生虫についてもしっかり知識を持っておく必要があります。

それにしても、標本やら展示物を見て
大学時代に勉強したことが浮かび上がってきました。

たとえば、
寄生虫にはそれぞれ学名があって、
トキソプラズマなら正確には、
トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)という名前があったり、
北海道のキタキツネはカワイイけれど、
エキノコッカス(Echinococcus multilocularis;多包条虫)という
寄生虫がいて、これにかかると肝臓ガンのようになるとか、
ツェツェバエというハエに刺されると(アフリカの話ですが)、
嗜眠傾向(寝てばかりになる)になるのですが、
病原体はトリパノゾーマ(Trypanosoma brucei)であるとか、
マラリアには三日熱・四日熱、熱帯熱マラリアというのがあるとか、
西郷隆盛は象皮病であったのではないか、
などなど徐々に思い出しました。

まあ、実際の診療でお目にかかることはないでしょうが、
というか、お目にかかることがあってはいけないと思いますが、
こうした勉強したことは忘れずに、
頭の片隅に残しておきたいと思います。