『秘曲 笑傲江湖 ①~⑦』 金庸 作, 小島瑞紀 訳, 岡崎由美 監修, 徳間書房
ここのところ、
『ポリヴェーガル理論入門』についての話が一息ついて、
プチ燃え尽きております。
そこで、ここは、ちょっと、先日久しぶりに読んだ小説のお話。
この『秘曲 笑傲江湖』だけでなく、
金庸の小説は10年ほど前に
すごく入れ込んで読んでいたことがありました。
作者の金庸(きんよう)氏は、
昨年(2018年)の10/30に亡くなられましたが、
現代中国の代表的作家の一人で、中華圏で多くの読者がいます。
小説は中国の時代劇風の作品で「武侠小説」と呼ばれています。
映画『グリーンデスティニー』の様な感じですね。
主な作品として、
書剣恩仇録(1955年) (しょけんおんきゅうろく)
碧血剣(1956年) (へきけつけん)
雪山飛狐(1957年) (せつざんひこ)
射鵰英雄伝(1957年)(しゃちょうえいゆうでん)
神鵰侠侶(1959年、邦題:神鵰剣侠)(しんちょうきょうろ・しんちょうけんきょう)
飛狐外伝(1960年)(ひこがいでん)
倚天屠龍記(1961年) (いてんとうりゅうき)
鴛鴦刀(1961年)(えんおうとう)※
白馬嘯西風(1961年、邦題:白馬は西風にいななく)※
連城訣(1963年)(れんじょうけつ)
天龍八部(1963年)(てんりゅうはちぶ)※
侠客行(1965年)(きょうかくこう)
笑傲江湖(1967年、邦題:秘曲 笑傲江湖)(しょうごうこうこ)
鹿鼎記(1969年)(ろくていき)※
越女剣(1970年)(えつじょけん)
などがあります。(※は未読)
(侠の字は微妙に違うのですが字が出ないのでこの字を使用しました)
この中で、
書剣恩仇録、射鵰英雄伝、神鵰侠侶、笑傲江湖
あたりが、僕のオススメです。
射鵰英雄伝と神鵰侠侶、倚天屠龍記は3部作と呼ばれており、
登場人物も共通する人物が多いので、この順に呼んだ方がいいと思います。
もう10年近く前に読んだので、今読むと印象はどうかわかりませんが、
一番の好みは神鵰侠侶、次いで射鵰英雄伝と笑傲江湖がほぼ同列かな。
どの本も、結構分厚い本で読み応えがあります。
登場人物が非常に多いのですが、
どれもキャラが濃くて、魅力的で、
慣れてくるとグイグイ引き込まれて読んでしまいます。
笑傲江湖の「江湖」とは、
”武術を身につけて結束、団体化した人々が所属する一般社会とは異なる特殊な社会のこと”(Wikipedia)。武林とも言います。
この小説の中では、立場の違いから、正派と邪派(魔教)とに分かれて、
長い間争いが繰り広げてきたという背景があります。
「笑傲江湖」とは、そんな江湖の社会を笑い飛ばすという意味だそうです。
主人公は、令狐冲(れいこちゅう)。
華山派の一番弟子。お人よしで陽気で大酒飲みだが、好青年。
もともとは平凡なちょっとできる程度の腕前の剣士でしたが、
奇縁により、武林屈指の武術を習得してしまいます。
そんな令狐冲を中心に、
秘伝書を巡る陰謀、正派と魔教の戦い、魔教内部のクーデター、
正派どうしの併呑など、数々の事件が巻き起こります。
また、主人公をとりまく女性陣も魅力的です。
・・・金庸の小説に出てくる女性は、
男性に比べると出てくる人は少ないのですが、
笑傲江湖の任盈盈(じん えいえい,ヒロイン)、儀琳、藍鳳凰や
射鵰英雄伝の黄蓉(こう よう)、神鵰侠侶の小龍女(しょうりゅうじょ)、
書剣恩仇録のカスリー(香香公主)など、
みんなとても魅力的です。
小説の中では、点穴(てんけつ)と言って、”秘孔をつく”みたいな技があって、
東洋医学のツボのようなものを衝くと身動きとれなくなる、とか、
軽功(けいこう)と言って常人の何倍もの速さで、
走り回ったり、宙を飛行したりする技などが出てきてきます。
(今では中華系映画ではワイヤーアクションとして当たり前ですが)
最初はちょっととっつきにくいかもしれませんが、
機会があったら是非金庸ワールドを味わってみてください。