さて、生体時計に話を進めます。
著者の大塚先生は生体時計について次の様に考えられています。
”地球に生きる生物はみな、太陽光を利用した時計を持っている。
生体時計を持たない生物は、少なくとも地球上にはいない。
生体時計を獲得しえなかった生命体は、
地球上から滅亡していったのかもしれない。
地球にすみ、生き延びていくためには生体時計が必要である。”
人間の生体時計で最も大きなものは、
サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれるもので、
地球の自転リズムよりも1時間ほど長く25時間となっています。
1時間ずれている理由は、まだはっきりとはわかっていないそうですが、
地球の自転はわずかずつですが遅くなっているので、
それに適応し、遊びをもたせたという説があります。
そして、日光を朝浴びることで、
生体時計の針を地球の時刻に合わせる
という仕掛けを遺伝子に組み込んだのではないかと言われています。
この生体時計はどこにあるのか?
脳の視床下部の視交叉上核という神経核に親時計があり、
全身の60兆個の大部分の細胞で
親時計に反応する子時計となる遺伝子が発現されているのだそうです。
こうした遺伝子を時計遺伝子というそうで、
現在、クロック・ビーマルワン・パーワン・パーツー・クライワン・クライツー
という6つの遺伝子が見つかっています。
この遺伝子から、時計タンパクが作られ、十分量になると、
ネガティブ・フィードバックがかかり、化学反応が抑制されるます。
これを「コアループ」と呼び、この周期が約24時間なのだそうです。
人間にはこうした24時間のリズムの他にもたくさんのリズムがあります。
脳波のリズム(0.1秒周期)、心電図のリズム(1秒周期)、
90分、8時間、12時間
サーカディアンリズム(24時間周期)
3.5日、1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年
0.4年、1.3年、10.5年、21年、100年、500年のリズムなど
90分というのは睡眠の深さのサイクルに現れますが、
大学の授業も(今はどうかわかりませんが、昔は)90分でした。
集中力はおおむね90分で散漫になるからだと聞いたことがあります。
3.5日というのは3日坊主のことですね。
100年、500年などのリズムというのは人の個体というよりは
社会的なリズムといえますね。