『健やかに老いるための時間老年学』 大塚邦明,ミシマ社
著者の大塚先生には、学生時代に老年病学を習いました。
その後、僕が大学卒業後、
先生は東京女子医大に移られ、東医療センターの病院長もされました。
この本の前に、
『病気にならないための時間医学』(ミシマ社)
というロングセラーの本があります。
以前本屋さんで見かけて購入はしたのですが、
実はそのまま本棚に飾ったままでした。
以前、睡眠呼吸フォーラムでお会いすることがあり、
時間医学の本を読まなくちゃ、と思っていたら新しい本が出ました。
こちらの方が読みやすそうだったので、
時間老年学の方を先に読みました。
さて、この本の基本的な考え方です。
地球上の生物には生体時計というリズムがある。
それは、進化の過程で数十億年という長い年月をかけて、
宇宙のリズムを生命の中にコピーしてきたもので、
地球の自転リズムや、月や太陽などが奏でる
天体由来のリズムが多重に宿ったものである。
この生体時計が衰えると、老化が進み、病気にもなりやすくなる。
また、現代の大都会に住む人の生体リズムは、
このリズムが壊れてきていて、その結果、
病気になりやすく治りにくくなってきている。
そんな今こそ時間医学の考え方が重要なのだ。
ということだと思います。
読み終わって感じるのは、
大塚先生のバックグラウンドの広さ。
読書に関しては、古代ギリシア時代のソクラテスに始まり、
聖書、老荘思想、から西田幾太郎など、
古今東西の本についても語られています。
その上で、先生のご専門である循環器科だけでなく、
最先端の脳科学の情報まで網羅されていて、
さらに宇宙をも巻き込んだ高い視点から
時間医学について書かれています。
本を読み進めていくうちに、
大学での講義を受けている気分になりました。
明日から、僕が特に気になったところを中心に、
少しお伝えしたいと思います。