昨日からの続きです。
『知られざる後鼻漏-鼻から始まるその不快感の正体』 呉 孟達, 幻冬舎
この本をもとに自分なりにまとめてみました。
後鼻漏は病名ではなく症状を示す言葉です。
典型的な症状は
・鼻汁がのどに流れる感じ
・鼻の奥に何かへばりつく感じ
・鼻水がのどに下りてきて痰がよく出る
といった症状ですが、
下記のような症状も後鼻漏と関連がある場合があります。
・エヘン虫、咳払い
・のど全体がネチョネチョした感じ
・のどのイガイガ、乾燥感
・鼻とのどの間にひかかった感じ
・口内のべとつき感、粘り着き感
・痰がからむ
・たえず痰を吐き出す
こうした症状をひっくるめて「広義の後鼻漏」とも言えますが、
厳密に言うと、
狭義の「後鼻漏」と「後鼻漏感」とに分けることができます。
つまり、本当に鼻汁・鼻水や鼻腔の分泌物が
のどに下がってくるのが狭義の後鼻漏で、
ファイバースコープで鼻の奥から上咽頭付近を観察すれば、
流れて落ちてくる分泌物をみることができます。
(まあ、アレルギー性鼻炎のようなサラサラした液は、
あまりはっきりとは見えないかもしれませんが)
これを著者の呉先生は、「真性後鼻漏」と名付けていらっしゃいます。
これに対して、実際に上から下がってきていない後鼻漏感、
ファイバーで見ても何も分泌物が鼻腔から咽頭に
流れ落ちてくるのがみられないタイプ、
(逆に咽頭から鼻腔に上がってくる場合があります)
これを「仮性後鼻漏」と名付けていらっしゃいます。
僕もこの呼び方はいいなと思います。
この本をもとに、広義の後鼻漏を次の様に分類してみました。
なお、これは僕が覚えやすいように勝手に少し変更したもので、
正確な分類ではありません。
実際にはもっと細かに分類されていますので、
ご興味をもたれた方は本をお読み下さい。
真性後鼻漏(鼻副鼻腔疾患)
A)炎症性
1)感染性・・・ウイルス性・細菌性・真菌性
2)アレルギー性・・・通年性・季節性
3)好酸球性
B) 非炎症性
1)血管運動性
2)その他・・・味覚性、寒暖差、シックハウスなど
C) 変性性
1)移行性・・・疾患が持続していると粘膜が変性
2)加齢性・退行性
3)術後性
4)感冒性
D)その他
仮性後鼻漏(口腔咽頭疾患等)
A.炎症性・・・上咽頭炎(急性・慢性・慢性化膿性)など
B.嚥下障害性
1)唾液性(口腔乾燥症)
2)運動性(非顕在性運動障害)=嚥下障害(咽頭残留)
3)鼻咽腔逆流性(鼻咽腔閉鎖不全)
4)その他(睡眠性、形態性 他)
C.神経過敏性
1)アトピー性・・・咳喘息・アトピー咳嗽など
2)咽喉頭異常感症・・・心因性・更年期・うつ等を含む
3)胃酸関連・・・逆流性食道炎(胃食道逆流症・咽喉頭胃酸逆流症)
上咽頭炎は真性後鼻漏の方に入れてもいいかなとも思います。
次回、一つずつ見ていきましょう。