『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった』 渡邊章範著, 青春出版社
「気象病」についての本については以前にもお話しました。
(「天気痛」という表現も「気象病」に含まれます。)
>本:「低気圧頭痛」は治せる!
>本:「低気圧頭痛」は治せる!2
>本:低気圧女子の処方せん
先日、患者さんが天気痛外来を受診したいけど、
予約しても1年以上先になると話していました。
それだけ、
天気・気象の影響を受け困っている人が多いにもかかわらず、
それを診ることができる人が少ないということなのでしょう。
ということで、
僕もこの本で気象病を復習してみたいと思います。
詳しく知りたい方は本を買いましょう。
まず、気象病の定義ですが、
はっきりした医学用語というわけではないそうですが、
「温度・湿度・気圧・天候の変化から起る心身の不具合」
と考えられます。
気象病には3つのパターンがある:
1)気象の変化により一時的に症状が出た一過性のパターン
2)もともと持病を持っている人が悪化してしまうパターン
3)気象の変化が引き金になって完全な病気が発症してしまうパターン
気象病が起る機序
<気圧の影響>
・気圧が下がる
⇒相対的に身体の中の圧が上がる
⇒内側から外側に向かう力が働く
⇒血液中の水分が血管から細胞の方に移行=むくみ
↓
・栄養分や老廃物のやりとりが滞る
⇒痛み物質や炎症物質がたまる
・むくみそのものも神経を圧迫して痛みにつながるかもしれない
・耳鼻咽喉科的には内耳のむくみ
⇒めまいや低音中心の難聴・耳閉感
他にも
・低気圧⇒交感神経↑
ただし、交感神経優位がすべて悪いというわけではない。
両方バランスよく働くことが大切。
<湿度の影響>
・湿度=空気中の水分量
・湿度は高すぎても低すぎても問題
・人間の健康のために最も適切な湿度は約50%
・湿度が低い
⇒肌やのどが乾燥、湿疹やじんましん↑、化膿する率も↑
⇒脱水症状↑⇒心筋梗塞、脳梗塞も起きやすい
・湿度が高い
⇒血管・関節・内耳・眼などの水分量↑
⇒関節痛の悪化、痛風発作
⇒カビの発生↑⇒喘息の悪化、夏型過敏性肺臓炎
⇒ダニの大量発生
⇒アレルギー疾患↑
(持病ではありませんがパンケーキ症候群にも注意)
※パンケーキ症候群
http://www.hiroshima.med.or.jp/kenmin/monshin/011893.html
ダニが大量に繁殖した粉製品を摂取することで起こるアレルギー症状
経口ダニアレルギー。小麦粉の袋を封を開けたままにしていると、
中にダニが繁殖し、その死骸や糞を食べると、
アナフィラキシーショックを起こすことがある。
<気温の変化>
・寒暖差⇒自律神経の乱れ
・特に気温が急激に低下した時
⇒血圧↑⇒脳梗塞・心筋梗塞↑
⇒肺の循環血液量↑⇒喘息↑
・特に前日より5℃以上最高気温が下がると健康に影響がでやすい
明日続きは