こういう歴史的な出来事の瞬間というのは、
後になっても、「あの時こんなことをしていた」と、
思い出すことが多いと思います。
皆さんは新元号が発表された時、何をされていましたか?
僕はと言うと、普通に患者さんの診察をしていて、
休憩から帰ってきたスタッフから新元号を聞きました。
あー、もっと劇的に瞬間を味わいたかった(笑)。
振り返って、「平成」が次の元号だと決まった瞬間、
つまり、あの小渕官房長官(当時)が「平成」の文字を掲げた時、
僕は何をしていたのか・・・それが全く思い出せません。
その瞬間とかでなくとも、
「平成」という元号に変わるんだと意識した覚えが全くなく、
気がついたら普通に平成を受け入れていたような感じです。
当時僕は研修医3年目。
忙しかったのでしょうかね。
それにしても、「令和」という言葉の響き、中々いいですね。
安倍首相の思いとしては、
「悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄を、しっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたいとの願いを込め、『令和』に決定した」(msmニュースから抜粋)とのこと。
厳しい寒さというのが災害が多かった平成を思わせ、
そのあとに春がやってくるであろうことを、
首相は、今回のこの言葉で一瞬のうちに国民の中に印象づけ、
国民を明るい気持ちにさせました。
国書である万葉集からの引用ということで、
精神的な日本人としてのアイデンティティーを意識させるとともに、
それでいて、当時、外来種だった(との説が強い)「梅」を
我が国の文化的なシンボルにまで成熟させた歴史的経過は、
外国からやって来たものを自分の国のものに昇華して
国際世界の中で生きていこうとする
現代と似ている様にも思います。
(ただ、日本社会を破壊しかねないものの流入には、
きちんとNoを言える国であって欲しいものです。)
また引用元として、天皇から庶民まで幅広い国民の詩を編んだ
万葉集を選んだのもいいですね。
「令」は(命令の令でもあるところは注意しなければいけませんが)
令嬢、令室の「令」であり、気品をもった言葉だと思います。
それでいて「和」はやわらかいイメージ。
まさに、穏やかでありながら、気品をもった存在という
日本人のイメージ(実体もそうあるべきですが)とも合致します。
たった2文字と、その元号に至った思いを語るだけで、
日本全体を明るい気持ちにさせた、
今回の政府の手腕と新元号の力って凄いなと思いました。
それにしても、新元号予想、全くかすりもしませんでしたね。
僕も他の人と同様、「安」という文字がつくかな?とか、
「栄」はどうかな?「開」もいいんじゃない?
なんて考えていました。
まあ、そんなに安直ではないだろうと思ってましたが、
ここまで素敵な元号がでてくるとは思いませんでした。