本:謎の耳づまり病を自分で治す本

『謎の耳づまり病を自分で治す本』 萩野仁志,マキノ出版

WS000019
「耳がつまった感じがする」
「耳に膜が張った感じがする」
「耳に水が入った感じがする(実際には水が入った覚えがない)」
こうした症状を耳閉感といいます。

耳閉感がある場合にどう考えるかについては、
パンフ:耳のつまった感じについて
にも書いています。

耳垢や本当に水が入った等でなければ、
一般的に耳閉感は、次の3つのことが多いと思われます。
1)内耳由来:メニエール病・低音障害型急性感音難聴・突発性難聴など
2)耳管狭窄症・滲出性中耳炎
3)耳管開放症

この本では主に耳管開放症について詳しく書かれています。

耳管開放症は、僕が医師になった頃は、
まだあまりメジャーではなかったのですが、
まあ、耳鼻咽喉科医の中でも認知度が低かったのもありますが、
近年ストレスの多い生活を余儀なくされる方が多くなったのか、
昔より増えているのではないかと思います。

まあ、それはそれとして、
この本の題名には「自分で治す」とあります。
ここ、大事ですね。
第2章に、日常生活で注意したい7つのポイントが書いてあります。
1)鼻うがい
2)爪もみ
3)よく眠る
4)なるべく鼻はすすらない
5)激しい運動は控える。天候と折り合いをつける
6)ステロイド薬に安易に頼らない
7)ピルの服用は慎重にする
という7つです。
興味のある方は実際に本をお読み下さい。

この本の後半には、
漢方薬と上咽頭擦過療法(EAT)を用いた治療についても
触れられています。
僕も耳管開放症の方の治療には、
第一選択に加味帰脾湯を用いてきましたが、
結構効く人もいますが、実は効かない人もそれなりにいらっしゃって、
加味帰脾湯が無効な場合にどうしようか困っていました。

他にも補中益気湯や桂枝茯苓丸、五苓散も有効なことがある
とのことですので、患者さんに試してもらって、
一人でもよくなる人が増えればなあと思います。