というわけで、
湯田温泉で泊ったホテルの話ばかりでしたが、勉強もしてきました。
今回の講演で印象に残ったものを、
いつものごとく自分の備忘録として上げておきます。
『データベースと患者体験にもとづく、メニエール病の病因と有効治療』
講師は横浜中央クリニック・めまいメニエール病センター、高橋正紘先生。
高橋先生のお話は、
以前、学会のポスター発表で拝聴したことがあり、
そのあと、先生の本を購読し読みました。
>本:薬も手術もいらない めまい・メニエール病治療
>本:薬も手術もいらない めまい・メニエール病治療2
その結果僕も、ウォーキングによる有酸素運動を
患者さんに勧めるようになり、
「睡眠、水分、ウォーキング」
をお題目とするようになりました。
まあそんなわけで、講演内容については、
ある程度知っていることではありましたが、
再確認でき、またいくつか知らないことも聞くことができよかったです。
なお、いつもの様に、僕の目もですので、
内容の正確性は保証できませんのでご了承ください。
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<メニエール病の病因と治療についての歴史について>
・1927年Portman:サメの内リンパをヒントに内リンパ開放術
・1938年Hallpike/大阪大学山川教授:剖検標本で内リンパ水腫
・1967年Robert Kimura:実験的内リンパ水腫
これらの研究は今だに現メニエール病研究を呪縛している。
・1974年厚労省メニエール病研究班:疫学調査
⇒働き盛り、ホワイトカラー・技術者などに多い=ストレス、睡眠不足
<メニエール病患者へのアンケート調査>
☆日常の過ごし方(睡眠時間/休日や週末をどうすごすか/夕食はどこで摂るか/一番不足しているのは何か、など)、行動特性(攻撃行動/熱中行動/時間切迫行動などタイプA行動、がまん行動/逃避行動、など)、日常の習慣特性、ストレス源、気分転換手段、身体症状などをアンケート
・男女で年齢構成は多少違うが、年齢が進むに従ってストレス源は↑
・気分転換手段は年齢がすすむと↓
・しかし、行動特性:生活、習慣は年齢に影響されない
☆メニエール病患者プロフィール
・ストレス源、習慣特性などはメニエール病と地域住民の一般の人でそれほど差はない
・メニエール病患者さんに最も特徴的なのは、行動特性:
負けず嫌い、イライラして怒りやすい、徹底的にやらないと気が済まない、熱中しやすい、何もしないと落ち着かない、親や上司の期待に添える様に勤める、嫌なこともがまんする、事前にいろいろ心配する
⇒蝸牛型よりも確実例で際立っている
☆発祥の誘因と機序
・年齢が進むほど、ストレスが発症に深く関わると患者さん自身が感じている
☆男女で発症誘因はかなり違う
・男性:大部分が職場の多忙・ストレス
・女性:兼業・育児の多忙、家庭内トラブル・不和、職場ストレス、介護・ケア、親と同居、など
☆1960年代~70年代Paul MacLean:初めて大脳辺縁系を提唱
⇒脳の三層構造説
1.爬虫類脳(reptilian brain):反射脳
2.旧哺乳類脳(paleomammalian brain):情動脳
3.新哺乳類脳(neomam-malian brain):理性脳
細胞学的には否定されているが進化生物学的には理にかなった説
動物的な4つの行動
1.存在・力を誇示、いばる
2.強い者を引きずりおろす
3.強い者に寄り添って甘い汁を吸う
4.しかたなく従う
⇒爬虫類レベルですでにある
上記のメニエール病患者さんの特徴は、がまんや奉仕を強いる、いわば服従行動に近い。つまり、
がまんして熱心に励んだが、報われない
=報酬不足が最大の発症原因
過敏性腸症候群(IBS)では腸と脳の相関が言われているが、
内耳と脳でも同様のことがあるのではないか。
以下明日につづく