低血圧
血圧が低すぎるとふらつきが生じます。高血圧の薬の副作用で血圧が下がりすぎる場合も含みます。
普通は眼振は見られません。
高血圧
血圧が高い場合もめまいやふらつきが生じる場合があります。
また、回転性めまい発作の時にも血圧が上がっている場合があります。これはめまいが起こったためにびっくりして血圧が上がっている場合と、高血圧で血管が収縮し血流が悪くなってめまいがする場合が考えられます。両者とも眼振がみられます。経験的なところですが、前者は収縮期血圧が180程度までで、後者はそれを超えて200近いことが多ように思います。後者は高血圧性脳症(けいれんや意識障害を伴う)に至る危険もありますので注意が必要です。
起立性調節障害
俗に言う起立性低血圧。座っている時や寝ている時の血圧は正常かやや低い程度ですが、立ち上がった直後や、しばらくじっとたったままでいるとストンと血圧が下がる場合があります。この時脳に血液が行かなくなり、眼前暗黒感を伴っためまい感が生じます。眼振はみられない場合が多い。
朝礼で倒れる子どもの多くはこれです。
Shellongテストという血圧の変動をみる検査があります。
起立性調節障害は、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きやバランスが悪いと起こります。
当科では、自律神経の働きをみる検査を用意しています。
座位(2分)⇒起立⇒立位(2分)⇒座位(1分半)の脈拍と血圧の変動を調べます。
ご希望の方は来院時にスタッフにお伝えください。
不整脈など循環系の病気
時に不整脈もめまい感を引き起こす場合があります。意識消失や眼前暗黒感を伴う場合もあります。
内科・循環器科へ。
椎骨動脈の異常
背骨の横を上行し脳に血液を送る動脈が椎骨動脈です。小脳や脳幹部にはこの動脈から血液が供給されます。内耳への血流も一部椎骨動脈から行われています。頸椎に異常な突起がある場合などは、頸を捻った際にこの動脈にあたり、血流が悪くなる場合があります。
椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)
椎骨動脈は、左右の椎骨動脈が頭蓋内に入って合わさると脳底動脈となります。この動脈系の血流が一時的に現象した状態が椎骨脳底動脈循環不全症です。一過性の脳虚血発作の一つでもあります。
頸部を捻ったり強くそらせたりした時に、めまいや意識消失・もしくはその感じに加え視覚障害(ものが見えにくくなる、目がかすむなど)を合併する場合がみられます。
hemodynamic VBI
もともと左右の椎骨動脈の太さが極端に違うような場合に、血圧の変動が大きくなると、急に血圧が下がった時に、細い方の血流が悪くなるため循環不全が生じるとされています。
頸性めまい(頸椎症、頸部の筋肉の過緊張など)
上に述べた、頸椎の異常な突起がある場合、椎骨動脈を圧迫する場合だけでなく、頸部の交感神経を刺激して頸から上の不調が生じる場合などが考えられます。
また、俗に言う「むち打ち損傷」など外傷性頸部損傷もめまい感が生じやすいと思われますが、他覚的に検査で異常をとらえるのが難しい場合が少なくありません。
貧血
回転性めまいよりも、浮動性めまいや眼前暗黒感などが多いかもしれません。
貧血があるかどうかは、血液検査を行えばすぐにわかりますが、もし高度な貧血があれば、なぜ貧血に陥っているのかをよく精査しておく必要があります。
心理的要因
いろいろと検査を行ったが、明らかな眼振も見られず、原因がわからない場合、心因性のめまいである場合があります。心理的なストレスが原因で、大脳辺縁系や自律神経系が活性化されめまい感が生じるものと考えられます。
心身症としてのめまい
これに対して、心身症としてのめまいというものもあります。原疾患としてはメニエール病など明らかな原因がありますが、その発生に何らかの心理的な要素が影響している場合です。たとえば、検査を行ってメニエール病とわかったとしても、その引き金がオーバーワークにあり、少し休養したり、仕事を少しセーブするだけで改善しそうな人がいるとします。実際に経済的にも立場的にも時間をとることができるはずなのに、なんだかんだと理由をみつけて休まない人がいます。そういった人には、無意識に「休んではいけない」というシナリオが心に刷り込まれている可能性があります(これはあくまでたとえ話で、実際に仕事をせざるおえない人もたくさんいらっしゃるでしょうが)。こうしたシナリオは育ってきた環境の中で、親を中心とした周囲の人間から知らない間にメッセージを受け取っている場合が多いと考えられます。
こうした心理的な背景が強いと考えられる場合は専門家(心療内科や精神神経科)にも診ていただく必要があります。
片頭痛関連性めまい
最近注目されているめまい。
頭痛に伴うめまいなので、危険なめまいとの鑑別が大切なので、まずは神経内科でよく診ていただく必要があります。しかし、きちんと診断がつけば、多くの場合、標準的な治療法も確立されており、ある程度の予防も可能です。
診断基準があります。
- 反復性の前庭症状(めまい)
- 片頭痛は現在有するか、過去に既往がある
- 2回のめまい発作のうち少なくとも1回は、片頭痛のいろいろな症状:片頭痛様の疼痛、光過敏、音過敏、視覚性前兆(閃輝暗点(キラキラ)やジグザグに見える)などを伴う
- 他の原因は除外される
といった条件があります。
治療としては、一般的なめまいの薬剤が無効なことが多く、片頭痛の治療に準じます。すなわち発作時の治療と予防的な治療を行います。
生活習慣としての予防は、片頭痛の予防と同じです。過労、ストレス、睡眠不足に注意する。人によってはチョコレートやカフェイン(時にチーズも)、アルコール(赤ワイン)等の摂取を控えます。