本:自然欠乏症候群1

先日の未来患者学2018で講師をされた山本竜隆先生の本。

『自然欠乏症候群 体と心のその「つらさ」、自然不足が原因です』 山本竜隆, ワニブックスPLUS新書
WS000008

もともと人間が健康に生きるには、
みんな多かれ少なかれ自然というものが必要だというのは、
なんとなくうすうす分かっている気がします。
でも、実際には何かにつけ後回しになっているような気がします。

「自然欠乏症候群」という言葉は、
もともとは、リチャード・ループという人が、
『あなたの子どもには自然が足りない』という本の中で提唱した、
「自然欠乏障害」という言葉からでてきたものだそうです。

この本では、冒頭で、まず、7つのケースを紹介しています。
それぞれ、何となく調子が悪い、すぐれない、
といった状態で、病院に行って検査をしても
特に病気と言えるほどの大きな異常はみつからないといった状態です。

こうした場合、とりあえず対症療法的に、
頭痛には痛み止め、不眠には睡眠薬、
それでもしっくりしないなら抗うつ薬が処方されたりします。

ま、僕もそうした対症療法的な処方はよくします。
ただ、本当はその背景には、
何らかの生活のひずみや、対人関係における不協和音などが
あるのだろうなと思っています。

ただ、そのさらにベースには
自然が不足しているのだと筆者は考えます。

自然の欠乏が招く深刻な症状、
自然から離れることによって人間が負わなければいけない代償:
・人間の感覚の収縮(五感の衰え)
・注意力散漫
・指向性集中による疲労

自然欠乏症候群の原因
・自然環境の不足・・・周囲に自然がない
・人工的な環境・・・建材や塗料などもほとんどは化学物質
・体内に侵入する化学物質・・・農薬、化学肥料、排気ガス、経皮吸収など
・地球のリズムを無視した生活・・・昼夜逆転、季節を無視した生活など

筆者ももともとは都内で診療をされ、
患者さんに向き合う日々は充実していたそうですが、
まさに「自然欠乏症候群」そのものの生活を送っていたそうです。
そんなある日、ある新聞広告が眼に飛び込んできたそうです。

あなたは文明に麻痺していませんか
石油と水はどっちが大事ですか
車と足はどっちが大事ですか
知識と知恵はどっちが大事ですか
批評と創造はどっちが大事ですか
理屈と行動どっちが大事ですか
あなたは感動を忘れていませんか
あなたは結局何のかのと言いながら
我が世の春を謳歌しませんか

これは、日経新聞に載った
脚本家倉本聰さんが「富良野塾」を開設した時の
起草文だそうです。(p.82)

明日に続く