現代人には自然が足らないと山本先生は言われます。
小学5年生~中学2年性を対象にしたある調査で、
日の出、日の入りを1回も見たことがないという子どもは
50%を超えているとか。
また、セミをつかめない子も多数。
魚の絵を描かせたら約半数の子どもは切り身のを描いたとか。
そして、自然の中で人間らしく生きるために、
子どもがするべき30の自然体験を挙げられました。
☆自然の直接体験
木に登る、日の出を見る、山に登る、雪合戦、川に入る
海に入る、泥んこ遊び、流れ星を見る、闇を体験する、
テントで夜を過ごす
☆自然の恩恵
湧き水の飲む、たき火をする、プチ断食をする、
無農薬野菜を育て食べる、自然素材のみで工作をする、
種を拾う、落ち葉の上で寝転がる、日光で火をおこす、
テーマを決めて石拾いをする、植物で染色をする
☆生き物から学ぶ
魚を釣る、魚をつかむ、虫をつかむ、虫に刺される
裸足で相撲をとる、動物を抱く、動物の出産に立ち会う
動物の死を目の当たりにする(できれば埋葬する)、
馬に乗る、山中でゴミを拾う
英国ナショナルトラストではこのような項目が
50項目掲げられているそうです。
ただ、自然との関わりは大人でも減少していると。
ヒポクラテスの言葉に次の様なものがあるそうです。
「自然から遠ざかるほど病気に近づく」
ヒポクラテスは紀元前4世紀頃の古代ギリシャの人。
そんな頃から、上の言葉を言われていたとはすごいですね。
さらに山本先生は関連する考え方として、
人間をとりまく環境を整えることで、
患者さんの自己治癒力を活かす方法として、
フランスの「ミリューセラピー」というものを紹介されました。
ネットで検索しますと、環境療法とあり、
環境の諸条件を改善し、
あるいは環境からの働きかけを行うことにより
患者さんの状態の改善を図る療法だそうです。
このミリューセラピーでの環境整備には5つの視点があると。
1)時間の経過が感じられる自然
2)自然の循環が感じられるもの
3)五感を刺激し、知覚を刺激し、心を開く
4)瞑想できる
5)人との交流を促進できる
同様な考え方が山伏の言葉にも見られるとのこと。
「懺魏、懺悔、六根章清浄」
(ざんぎ、ざんげ、ろっこんしょうじょう)
六根とは、眼、耳、鼻、舌、身、意(般若心経にも出てきますね)で、
身体の五感を司る器官と意識。
俗世界で汚れてしまった六根を、
清らかな山が清浄するという考えがあるそうです。
中々山にこもることはできませんが、そんな人には、
山本先生は、”一人散歩”をすすめられました。
散歩の効能については昔から知られています。
ベートーベンの散歩道はベートーベンガングと呼ばれ、
ハイデルベルグでカントが歩いた道は哲学の道と呼ばれます。
日本にも京都に哲学の道があり、
西田幾多郎をはじめとする哲人が好んで散歩しました。
その他、空海が開いた四国八十八カ所巡りなども、
まあ、散歩というにはかなり長距離ですが、
心身の健康によいとされます。
これは、人間の脳にある2つのしあわせ物質、
ドーパミンとセロトニンの神経を活性化するのだそうです。
中でも、セロトニンは、直感脳の神経でもあり、
”足るを知る価値観”をもたらしてくれるそうです。
その他にも色々な考え方、療法を紹介いただきました。
☆食と健康の考え方るい際の5つのポイント
1)固執しない考え方
2)自分には何が適しているか(肌感覚で考える)
(遺伝や腸との相談、農耕系か狩猟系か、など)
3)食べるものだけでなく、食べ方や食べる時間
4)不自然なものを入れない
5)とりまく環境を考える
☆現代女性ならではの環境・状況の考察
女性は、(夫婦における)妻として、(親子における)娘として、
(子どもの)親として・PTAやママ友として、
(職場における)OLとして、地域住民の一員として・・・
と、休まる暇がないのだそうです。
こういう人は、自分だけの時間と空間というシェルターが必要だと。
最低でも2週間に半日くらいはとるべきだと言われました。
☆月暦を意識した生活
特に女性は月の影響を受けやすい
☆マインドフルネスについて
茂木健一郎先生も少しお話されましたね。
「今、ここの瞬間」を意識し、身体や心、魂を観察する。
過去や未来にとらわれない
感じていることに、気づく
「ありのまま」の自分を確認する
☆水の問題
ライバル(Rival)の語源はRiver(川)。
すなわち水を巡って争いが絶えなかったことの名残。
現代の日本では水はあたりまえの様にあるが、
世界では膨大な数の人が汚染された水で命を落としている。
日本人は水の重要性を忘れている。
最近、水の管理が企業に任されるようになったが、
ほとんどの人が知らない。
☆化学物質
環境ホルモンの規制対象は欧米と比べて圧倒的に少ない。
☆リトリート外来
よみがえるための気づきの場。
肌で感じて、考え判断するきっかけの場。
☆リトリート外来&マインドフルネスにおけるポイント
・あなたが一番輝ける場・環境・状況はどこかを常に考える
・時間別のマイ・セルフケアを把握する
・孤独をマイナスに捉えず、愛する、確保する
・自分の個性、強みをイメージする・活かす
・自然欠乏を解消する(物質&リズム)
・日々の生活で、朝日・呼吸・睡眠・姿勢・存在意義を大切にする
今回の未来患者学2018、
いろいろと勉強になった1日でした。