未来患者学2018 vol.4

4時限目は「リトリート外来」という講座を聴きました。
講師は、朝霧高原診療所所長 山本竜隆先生。

リトリートと言う言葉は初めて知りました。
もともとは宗教用語なんだそうですが、
”仕事や家庭生活等の日常生活から自分を一時避難させ、
自分と向き合う時間や新しい体験をする場所、
また、思考の切り替えを行い、
「よりハッピーに人生を再スタートする」
ための出発サポート地点”

という意味で使われるようになりました。
https://mma-j.com/project/a3/

リトリートが何かも知らないで、
講座を聴講しようというのも大胆不敵と言われそうですが、
中々興味深い講座でした。

山本先生はもともと都内で診療をされていましたが、
受診される患者さんが何となく生命力のなさを感じたり、
先生自身も都会での医療に違和感を感じていたそうです。

そんなおり、西洋医学に
東洋医学等の伝統的な代替医療をも取り入れて
自然治癒力を引き出すことを目指した統合医療と出会い、
その提唱者でもあるアントルー・ワイル博士のもとに
学びに行き、日本で最初に統合医療をマスターされました。
そして、富士山麓の大自然の中で
理想の医療を実践されているのだそうです。

病気の成り立ちについて初めてきちんとした考察を
行ったのはヒポクラテスといわれています。
ヒポクラテスは、病気の発生には3つのポイントがあると。
それは、病因・宿主・環境であると。
そして、その中で最も大切で、予防医学的にも重要なのが環境。

世界保健機構(WHO)も、
”健康は個人の努力だけでは実現できない!
安心して生活できる環境、
健康づくりのために整備された環境が重要である”と。

統合医学の基本は、多角的にものをみるということ。
患者さんをミュニティーの一員として全人的に診る。
患者さんのライフスタイルを診る。
患者さんと他者との関係性を診る。

そして山本先生は、世界中の、中でも欧州の田舎を回り、
医療施設を見学されました。
たとえば、ミュンヘンから車で1~2時間かかるような
限界集落にあるトレッキングやスパを併設した施設であったり、
イタリアのシチリア島でブドウ摘みのような作業療法を通して
地域の人びとと積極的に関わるような施設であったり。

そうして、自分が理想とする自然と一体になって
患者さんの自然治癒力を高める滞在型、療養型医療と、
さらにはその場所での地域医療も担当するような
医療ををやりたいと、
富士山麓に療養施設を開設されたのだそうです。

ちょっと長くなったので、続きは明日。