その後が中々書けずにいました。
高知医科大学の卒業式のあと、
僕たちほとんどの学生には医師国家試験が待っていました。
確か、高松のどこか大学で
受験したんじゃなかったかと思うのですが、
あまりその時の記憶が残っていません。
どこかのホテルに泊まって、
会場に行ったはずなんですけどね。
ただ、一つだけ覚えているのは、
夜どこからともなく、というか、
ホテルのドアの下のスキマから、
数枚の紙が投げ入れられて来たことです。
何となく怪文書みたいな感じです。
サササーと滑り込んで来たのです。
実は話には聞いていたのですが、
国家試験に出る問題が事前に漏れて
それが出回るとかいう噂です。
お、これか!そう思いながら、
紙に書かれた問題を眺めてみます。
噂の真偽はともかく、
一つでも何かすがれるものがあったらすがりたい、
そんな気持ちで、問題を読みながら、
自分の知識に死角がないかを確認するわけです。
あとで聞いた話では、
一つ下の学年が、国試対策委員なるものがあって、
どこからか問題を入手してきて
配布してくれていたというのですが、
僕は真偽のほどは知りません。
結局、紙にあった問題が当日の試験には出るはずもなく、
と言ってそれで慌てるほど信じていたわけでもなく、
試験当日は淡々と問題を解いていきました。
試験の手応えは・・・
それがあまり覚えていません。
出来た!とも、出来なかった・・・とも。
まあ、他の人と同じくらい勉強していたら何とかなるだろう、
そう思ってやるだけのことはした、
そうした開放感だけでした。