スイカ

毎日暑い日が続いていますね。

昨日畑を見に行ったら、乾燥しきってました。
少しお湿り程度でいいので雨が欲しいところです。

昨日は嫁さんがスイカを買ってきていて、
朝食の時に冷えたスイカを出してくれました。

うちの田舎はもともと兼業農家で、
自給自足できる程度の野菜は家で作っていました。
スイカは野菜には入らないかもしれないけど、
スイカの作成・収穫は夏場の大きな作業の一つでした。

母親が元気な頃は、両親でスイカを作っていました。
それが歳を経るごとに、母親は指揮する方に回って、
僕や妹や、後年は妹の旦那さんが実働部隊となっていました。

それでも、
母親は自分がスイカ作りをしているという自負があり、
夏になって大きなスイカがたくさんできると、
近所にお裾分けをしていました。
「中身は割ってみんとわからんで」
と言いながらも、
「うちで作ったスイカは美味しいに決まってる!」
と言外になんと漂っていたことか。
(今だからそのニュアンスがわかりますが)

僕も仕事が忙しくなって、遠くに赴任したりすると、
中々スイカを育てる時期に帰れません。
次第にスイカ担当は妹夫婦の役割になっていましたが、
僕にはそれが今ひとつピンときていませんでした。

数年前からさすがに母親も弱り、
スイカを作れと命令しなくなりました。
その背景には、
「誰がそんなに食べるんや」
という妹夫婦の説得もありました。
確かに労力を考えると、
買った方が圧倒的に安いし無駄がありません。

確かにスイカを育てるのは、
普通の兼業農家にとっては結構大変な作業です。
春にはまず場作りです。
穴を大きく掘って肥料をまき、土を元に戻します。
初夏に苗を植えて、
うまく着くまでは気温と水やりに注意が必要。
花が咲いたら受粉をして、
小さな実をつけだしたら、鳥につつかれないように、
大きな網を張るのですが、これが大変。
スイカの蔓が這うであろう領域を予想して櫛を刺していき、
人が入れる様に、かがんで動ける高さで網を張ります。
もちろん側面にも網を張らなければいけません。
最低でも5m×5mくらいはあったでしょうか。
これが大変で半日仕事でした。

そうして苦労してできたスイカですが、
妹夫婦は実はあまり好きではなかったと最近知りました。
母親が元気な頃は交際範囲も広く、
色々なところに作ったスイカをあげていましたが、
徐々にその範囲が狭くなり、
近年はごく近所と僕にスイカをあげるくらいで、
苦労して作ったにもかかわらず、
たくさん腐らせてしまっていたそうです。

僕は自分がスイカが好きなので、
人はみんなスイカは好きなものだと思っていました。
妹夫婦はそんなに好きでもないスイカを、
苦労して長い間作り続けてくれたのかと、
最近になってわかりました。

母親の、お裾分けをすることで、
喜んでもらおうとする気持ちもわかります。
(ま、上手にできたよと自慢したいのもあったのでしょうが)
そんな母親に答えてくれていた
妹夫婦にも感謝したいと思います。

そういえば、
まだ母親が自分でスイカ作りをしていた頃の話を思い出しました。

ある日、スイカの出来をチェックしに朝早く畑に行った母。
そこで、割れたスイカを発見。
暑さや水の加減で自然に割れてしまうこともあるのですが、
その割れたスイカにカブトムシが引き寄せられて
汁を吸っていたそうです。
うちの母親、スイカが割れたのはカブトムシのせいだと思い込み、
憎っくきカブトムシをやっつけてやったと得意顔で言うのです。
あれまあ、かわいそうなカブトムシ。
濡れ衣でとんだとばっちりでした。
まだ甥っ子も小さかった頃なので、
連れて帰ってみせてやったらさぞかし喜んだことだろうにね。