『「低気圧頭痛」は治せる!』 佐藤 純, 飛鳥出版
東京では早々と梅雨が明けたというのに、
先週は西日本は大雨で大変でした。
この時期だからというわけではないのですが、
以前より、「天気が悪くなるとめまいがする」とか、
「雨の日の前日は頭痛がする」とか、
「台風の前は調子が悪くなる」
といったことをいう患者さんがいらっしゃいます。
そしてそういう人は、
漢方薬の五苓散が効くことが多いのは、
診察をしていて経験があります。
今回は、そうした「気象病」とか、
「天気痛」と呼ばれる病態について、
いくつか本を読んでみました。
まずは、
「天気痛」という名前の名付け親、佐藤 純先生の本。
筆者は「天気痛外来」なる外来をされているそうで、
テレビにも出演されています。
<天気の影響を受けやすい病気・症状>
1.片頭痛
・30代女性では5人に1人は片頭痛持ち。
・その70%は天気と痛みに関連
・痛みが出る1~3日前に眠気、あくび、倦怠感、感覚過敏など
2.緊張性頭痛
・天気だけでなく、姿勢の悪さも
3.首・肩の痛み
・むちうちなど過去にケガをしていたり
・長時間パソコン作業をする人
4.めまい
・頭痛とセットで出る人も
・めまいで耳鼻咽喉科を受診した人の5~15%は頭痛を伴う
・片頭痛関連めまいor前庭性片頭痛
5.耳症状
・天気が悪くなる前に耳の奥がツーン、耳鳴り、耳閉感
6.気管支喘息
・天気が悪くなったときや季節の変わり目に発作が出やすい
7.古傷・神経痛などの慢性痛
・骨折やねんざ、手術痕
8.更年期症状
・ホットフラッシュ、ほてり、気分の落ち込み、イライラ、憂うつ
9.うつ、不安感など、心の不調
10.認知症
・周辺症状が天気と関連しているとの報告あり
<天気痛の原因>
・気圧の変化に内耳や自律神経が敏感に反応
・気圧が下がる時だけでなく、上がる時になる人も
<天気と内耳の関係>
・車酔いしやすい人は”天気痛”になりやすい
・天気痛に悩む患者さんにめまいを伴うケースが多い
<低気圧と痛みの関係:ラットの実験>
・気圧を下げた時に痛みへの反応が↑
⇒30分後には気圧を下げる前のレベルに戻る
⇒気温では下げた直後は反応に変化はないが、
30分後は痛み反応が↑
・内耳破壊ラットではこうした変化は起らない
・内耳の状態を改善すると天気痛が劇的によくなる場合がある
・逆によくならない場合もある
⇒こちらは自律神経が関与
<自律神経と痛み>
・交感神経が興奮すると痛み神経もつられて興奮する
・ストレスがあると、脳が痛みに敏感になる
・慢性的な痛みはストレスで悪化する
⇒脳が過去に経験した痛みを記憶していて
ストレスがかかると思い出しやすい
・自律神経はバランス
⇒バランスが崩れると、周囲の環境にすばやく反応できなくなる
・適度な温度と湿度に保たれた空間で過ごしていると、
汗をかくこともなく、血管が収縮・拡張したり、
血圧が上昇したりする機会が減る
⇒環境ストレスがかからないと、自律神経は働き方がわからなくなる
☆天気痛は内耳と自律神経の両方がよくならないと、
予防・改善はうまくいかない