耳がつまった感じ(耳閉感)について
耳閉感:つまった感じ、膜が張った感じ、こもった感じなど
原因として、一般的に解剖学的に次の3つに分類できます。
A)外耳道由来 B)中耳・耳管由来 C) 内耳・聴神経由来
A.外耳道由来
典型的な場合は自分の声が響きます。たとえば:
耳垢栓塞:耳垢で耳の穴が塞がった
外耳道炎:耳を触ると痛い、耳だれが出る
その他:耳に水が入った時、外耳道異物 など
B.中耳・耳管由来
典型例では自分の声が響きます。たとえば:
急性中耳炎:触らなくても痛い
滲出性中耳炎:鼻が悪いことが多い。大人の場合まれに鼻の奥の腫瘍が原因の時もある。長引く場合はカメラで確認を。
耳管狭窄症:鼻が悪いことが多い。ひどくなると滲出性中耳炎に移行。ピーという耳鳴りは耳管狭窄症の時に多い。
耳管開放症:うつむいたり横になると数分で症状が改善。脱水・急な体重減少で症状悪化、自分の呼吸音も響く。ストレスの多い時に多い
C.内耳由来
典型例は周囲の音が割れて聞こえたり、響いたりします。
急に内耳の細胞が弱った場合におこります
例:突発性難聴、低音障害型急性感音難聴、メニエール病など
めまいも生じる場合があります。ブーンという耳鳴りは低音障害、メニエール病で多い。寝不足、疲れ、ストレス、気候の変化・気温の変化で悪化。似た症状で、ごくまれに聴神経腫瘍の場合もありますので、長引く場合はMRIで確認を。
急な聴力低下は2週間以内に治療しないと、治りにくい場合あり。
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内耳疾患と外耳・中耳疾患との鑑別は、意外に難しい場合があります。
特に軽度の聴力低下の場合は難しい場合があります。
鑑別の決め手
・自分の音が響くか、周囲の音が響くか?
自分の音とは、自分の声や噛んだときの歯の音などです。
基本的には自分の音が響く場合は中耳・外耳、
回りの音が響く場合は内耳由来のものです。
・めまいはないか?
耳管狭窄症や耳管開放症でもめまいが生じると書かれた書物もあり、
実際にそういう場合もあるかと思いますが、
基本的には、めまいがする場合は内耳由来と考える方が良いと思います。
耳鼻咽喉科では診断のために、
まずは聴力検査とティンパノメトリーと呼ばれる鼓膜の検査を行います。
(さらに詳しい検査も必要な場合があります。)
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原則は上記ですが、実際には診断に決め手がない場合もあります。
そうした場合は、複数の病気を念頭に加療を行うこともあります。
あるいは、特に内耳由来の病気は、めまいなども困りますので、
まずは内耳由来の病気を念頭に治療を始める場合もあります。
耳閉感が持続する場合は、
数日以内に耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。