ここからは各薬剤の特徴について
半夏厚朴湯・・・理気剤
元気がなくて、器質的異常がないにもかかわらず、
胃から上に自覚的異常を訴える人向き
⇒食欲低下、嘔気・嘔吐、胸部圧迫感、食道閉塞感、呼吸困難感
動悸、喉頭閉塞感、咳、嗄声、眩暈、不安、抑うつ、不眠
柴胡加竜骨牡蛎湯・・・抗ストレス薬
いろいろ気を遣い、びくびくしており、
ストレスが身体の症状としてでやすい人向き
⇒動悸、頭痛、肩こり、胸脇苦満(もやもや感)、煩驚、希死念慮
もう無理となって身体が動かない
⇒「ストレスに負けない体をつくる薬」
⇒気分障害(うつ病、双極性障害)、不安障害(全般性不安障害、
パニック障害、強迫性障害、恐怖症、社会不安障害、PTSDなど)
身体表現性障害、転換性障害、解離性障害、心身症、知的障害
ただし、器質的障害の鑑別は忘れずに
抑肝散加陳皮半夏
益田聡子先生「不思議と劇的漢方薬」
⇒いつも虐められて(いると感じて)へとへとになっている人
「怒りを言語化できずにイライラしている人向き
⇒腹直筋の緊張、神経過敏、易怒性、焦燥感、眼瞼痙攣
もともとは子どもの夜泣き・疳の虫の薬である抑肝散
それに二陳湯という胃薬を加えて胃にやさしくしたもの
肝は怒りと関係があり、筋肉が硬直したり震えたりする
歯を食いしばりすぎて顎が痛くなったり、不眠になった時に用いる
この薬で自然に眠れるという人も多い
抑肝散・抑肝散加陳皮半夏
心の中に強い怒りを抱えていて、しかもその怒りを言語化し、
適切に表出することができない人に適した処方
乳幼児、認知症、発達障害、パーソナリティ障害
四逆散・・・抗不安薬
ストレスがたまっていて、感情に出したくても外に出せず、
葛藤が強く、頭が真っ白になる人向き
⇒手足の冷え、上腹部痛、
胸脇苦満と腹皮拘急=腹部に「竹」の字状違和感
頭が真っ白になった時の頓服的使用
甘麦大棗湯・・・視野を広げてくれる薬
益田先生「涙が勝手に流れて止まらない人向け」
つらさにどっぷり浸っている自分を客観視しにくい状況にいる人向け
⇒興奮、けいれん、あくびの頻発、夜泣き、ひきつけ
甘草5g⇒長期には使用しない
悲しみ・抑うつ・不安などにどっぷり浸っていて、
視野狭窄状態になっていて、それ以外の状況がありうるということに
患者がまだ気づいていない場合
⇒別の見方、別の可能性に気づく⇒精神療法を進めていける
桂枝加芍薬湯
背景に何らかの心の傷を抱えていて、
腹痛や便通異常を訴える人向き
⇒大人の過敏性腸症候群の第一選択薬
⇒腹痛・腹滿、腹皮拘急、下痢・裏急後重
過敏性腸症候群(子ども)
第一選択:小建中湯
過敏性腸症候群(大人)
桂枝加芍薬湯:交代制便通異常
桂枝加芍薬大黄湯:上記より便秘が強い
大建中湯:便秘優位型か下痢があっても腹部膨満感と冷えにより腹痛増強
半夏瀉心湯:下痢優位型。腹鳴著明
啓脾湯:水様性下痢で嘔気が強い
四逆散:ストレスが発散できず、下痢や便秘
真武湯:冷えが強く新陳代謝低下
人参湯:冷え症の便秘と下痢
加味逍遥散:不定愁訴を伴う便通異常
芍薬甘草湯:腹痛が強い時
九味梹榔湯:便秘優位で肩こりがきつく、脚気のような下肢のだるさ
特に腓腹筋に圧痛