前回・前々回からの続き。
前回、
>どうも口の中の容積とか圧力というのは、
そのまま、脳における
「大きい・強い」「小さい・弱い」
のイメージとつながるみたいなんですね。
と書きました。
さて、次のギモンは、
・「あ」という音と「い」という音を聞いたときどちらが大きく感じるか?
(第3章を参照)
⇒多くの人は、
ふつう「あ」の方が「い」より大きく感じるそうです。
英語のbigなんかは例外だそうですが、
Max>Minなんかは英語でも当てはまりそうです。
これは口の開け方というか、
発声時の口腔の空間の大きさと関連があるわけです。
一般には、
「ア」「オ」>「エ」>「ウ」>「イ」
の順に口の中の大きさは狭くなり、
音のイメージもだいたい同じなんだそうです。
だから、”強い”とか”大きい”をイメージとして与えたい場合は、
「ア」や「オ」を使うわけです。
ならば、
・ライオンの鳴き声はなぜ「ガオー!」なのか?
というのもうなづけますし、
・怒る時にはなぜ「こらー!」と怒るのか?
も、理解できます。
・・・ちなみに、もっと怖いその筋の人なら、
「ゴッラァ~!!」とうなる様にして叫びますが、
濁音まで駆使して脅かすわけですから、
これも音象徴的には理にかなった発声なんでしょうね。
逆に、「イ」は、”小さい”をイメージさせます。
・なぜ笑顔は「イ」の口のなるのか?
(まあ、笑顔には「アハハ」もありますけど)
これは、
「私はあなたより小さくて、かわいいですよ。
だから敵意はありませんよ。」
と伝えるのに効果的な方法なために
「イ」を採用しているの様なのです。
そして、上に示した、
「ア」「オ」>「エ」>「ウ」>「イ」
の配列というのは、スペクトログラムというもので
声を周波数分析したところ、
”第2フォルマント”と呼ばれる、
強いエネルギーを持った周波数帯の高さと
一致するらしいのです。
どうも、人間は
この第2フォルマントと呼ばれる周波数帯の高さで、
無意識に声や言葉から「高低」を感じているみたいなのです。
だから、高い周波数=「イ」に近い音=口腔の容積が小さい
⇒イメージも小さい・弱いに通じる
らしいのです。そうすると、
・疑問文はなぜ語尾が上がることが多いのか?
疑問文というのは、相手から情報を求めるので、
立場的に低いということになります。
だから、自分を小さく見せようとするには、
小ささをイメージさせる音を発すればよい。
それには、高い周波数を用いればいいわけです。
確かに、小さな子どもの声というのは周波数が高いですね。
あるいは、特に女の人が「よそゆきの声」を出す時は、
声が高くなります。
これは依頼する時でも同じだそうです。
「○○して下さいませんか?」という言葉は、
イントネーションを上げます。
へりくだってお願いするわけですね。
そう考えると、
「○○して下さい。」とイントネーションが下がるのは、
「して下さい」とは言ってますが、
上から下に命令していることになるのだなと気がつきました。
こんな、人が発する音
・・・言葉ですらない音節やイントネーションですら、
人間関係だとか状況を示すことになるというのは驚きです。