『動きが心をつくる 身体心理学への招待』 春木 豊,講談社現代新書
一般的には、人は何かを考えて、
それを実行するために行動をおこすと考えます。
その延長線上で、その時の心や気分、気持ちが、
人の行動、動きを決めていると考えられます。
たとえば、心がしぼんでいたりすると、
首はうなだれ、前屈みになりがちです。
ですが、以前このブログでも書いたことがあります。
>上を向いて歩こう
身体から入る精神的な調子の上げ方
>本:「首」にすべての原因があった
姿勢が心を制御すると言う話
>本:病気の9割は歩くだけで治る!
歩くと幸せホルモンと呼ばれているセロトニンが増える
>本:2週間でしつこい「悩みグセ」とサヨナラする本
>本:2週間でしつこい「悩みグセ」とサヨナラする本2
強制的にでも笑顔をつくることは、
ひょっとしたら気持ちを柔らかにするための
一つの矯正の道具になるかもしれない
まあ、そんなふうに、
「心⇒身体」だけでなく、
「身体⇒心」というのもあるんだよ、とお話してきました。
といっても、これらすべてそれぞれの本にそう書いてあって、
実際に僕もそうだろうなという推測で話を進めてきました。
まあ、直観的には僕も同意なんですが、
そこは本当にそうなのかというのは、
本当は自分で追試をしてみて確認するというのが、
科学的な考察というものです。
しかし、それはかなり難しい。
まあ、それができない場合は、一次資料をしっかり読み込むこと。
それには、膨大な各方面の論文を取り寄せて、
一つ一つ確認するという作業が必要です。
これも中々骨の折れる仕事です。
まあそうなると、二次資料に頼らなければいけないわけですが、
その資料(本)の選択が重要になります。
そんな中では、
この本は、「身体⇒心」という現象があるとする考え方を、
その出所をはっきりさせて説明してあるので、
かなり説得力のある話となっています。
また、著者は、動物の進化の観点からも、
心よりも身体の動きが先だと主張します。
つまり、最も原始的な単細胞生物であっても、
危険な環境からは逃れようとし、
必要な栄養があると思えばそちらに向かう。
多細胞生物も原則的には同じであり、
必要なものには向かい、
危険なものに対しては逃げるか闘うという行動を起こす。
それは、昆虫しかり、動物しかり。
脳は単にその動きをよりスムーズに行うために発達してきたのだと。
心はそれに付随したものなのだと。
だから、動きの方が先にあるので、
動きを制御すれば心が制御できるのだと考えます。
ちょっと長くなったので続きは明日。