北斎展2

今回の北斎展では、今まで一度も観た覚えがない
タッチのシリーズがありました。
5
『花見』

6
『初夏の海辺』
この2点を含む6点が今回来ているのですが、
なんか劇画タッチ。
それでも、「花見」はやっぱり浮世絵ですね。

図録をみると、
「ヨーロッパ風の様式で書かれた風俗画」とこの章にあります。
東インド会社の商館長が北斎に発注したものだそうで、
現在、オランダのライデン民族博物館に所蔵されています。

それにしても、「初夏の海辺」はこれまた面白い構図。
錨でしょうか?
それの上で遊ぶ子どもが、ほんと動いているように見えます。

そして、今回一番迫力があったのはこれ。
7
『鍾馗図』
鍾馗様は道教における魔除けと学業成就の神様だそうで、
今までにもいろんな人が描いた鍾馗様を観たことがありますが、
そんな中でもこの北斎の鍾馗様は迫力があります。

他にも印象に残った作品はあるのですが、
最晩年のこの作品を最後にあげておきます。

8
『雪中虎図』
この絵は北斎90歳の時の絵だとか。
ユーモラスでじんわりと温かさを感じます。

北斎は、亡くなる直前に、
「天があと5年命をくれたら、真正の絵師になれただろうに」
という言葉を残していたそうです。

いいですね。
90歳にして、なお理想の画家を追求していた北斎。

自分が90歳にまで生かさせていただいたとして、
果たしてこんな言葉を言うことができるだろうか?
「天があと5年命をくれたら、真の医師になれたろうに」
まあ、そんなことを言ってみたいものだ。

ま、凡人には北斎のような神の領域を目指すようなことは
到底できませんが、
とりあえず、目の前のことを一つ一つ頑張ってやっていこうと思います。

さて、今回の北斎展で一つ心残りがあります。
それは、北斎の娘、お栄(葛飾応為)の作品で一つ
観られなかったものがあります。

9
『吉原格子先之図』
晩年の北斎の右腕でもあり、
「美人画ではかなわない」と北斎に言わしめた程の力量の応為。
応為の作品は少ないそうで、
「月下砧打ち美人図」、「関羽割臂図」は観られたのですが、
上の絵はどうやら後期に展示される予定みたいで、
今回は観ることが出来ませんでした。

まあ、時間があればもう一度観に行くのも一つですが、
この「吉原格子先之図」は大田記念美術館の所蔵だそうなので、
また機会があればお目にかかることができるかもしれません。
それまでのお楽しみとしておきましょう。