先週の土曜日(10/14)は、受付時間終了を45分早めて、
東京で開催された”耳鼻医咽喉科心身医学研究会”に
出席してきました。
(受付終了後に来院された患者さんには申し訳ありませんでした。)
心身医学分野は開業する前から、僕の興味のある分野でした。
また、最近、心身症的な症状の患者さんが増えているような気がして
一度勉強会に出席してみたいと思っていたのでした。
受付時間を45分早めたとはいっても土曜日ですから、
当初は17時からの教育講演と
その後の特別講演に間に合えばいいと思っていたのですが、
何とか13時過ぎの電車に乗り込むことができ、
2つ目の演題から聴くことができました。
例のごとく、僕の備忘録としてここに残しておきます。
興味のない方はスルーしてください。
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指定演題
☆重心動揺と心因性めまい
今回の指定演題として、2つの演題がありました。
日常診療でめまいを診ている時に、
どうも心因性ではないかと思う場合があります。
こうした場合に、心因性と診断するための、
統一された診断基準は現在の所ありません。
そんな中、重心動揺検査が注目されています。
まずは、奈良県立医大からの報告:
ラバーロンベルグ率(ラバー上で開眼・閉眼を比べる)と
閉眼ラバー比(閉眼でラバーの有無で比べる)において、
両者とも、健常者に比べ動揺が小さくなる傾向があるとのことでした。
つまり、心因性めまいの患者さんは、
何か負荷をかけるまでもなく最初からある程度の動揺があり、
他の負荷でむしろ小さくなる傾向があるというわけです。
もう一つの報告は東京大学から。
まずは一般的に言われている心因性めまいにおける
重心動揺検査結果の特徴:
・開閉眼の差がみられない
・外周面積が大きい
・単位面積軌跡長が小さい
・グラビチャートが涙滴型
そして、足圧中心動揺を周波数分析し、
パワースペクトルを正規化して周波数毎に検討。
その結果、心因性めまいでは、
開眼・閉眼、ラバー負荷での開・閉眼の4条件において、
いずれの条件でも0.5Hz以下のパワー増大がみられ、
開閉眼やラバーのあるなしの差は認められなかったとのこと。
さらにいえば、特発性両側性前庭障害では、
パワースペクトルは閉眼で幅広い周波数で異常が出現。
脊髄小脳変性症では、4条件すべてで
2~2.5Hzの周波数帯で異常がみられたとのこと。
☆教育講演 「医療と倫理」 東京医療センター精神科 杉原正子先生
・倫理とは、具体的な生活の中で、個人と社会の、
生きているあなたや私の「べき」(=規範)を問う学問。
・自分ならどうしたいか。どうされたいか
・わかりやすい言葉で伝えるコミュニケーション能力が必要
・多様な立場から対等に語り合う、協働(パートナーシップ)が必要
・多様な視点=メタ認知が重要
・医療倫理の4原則
1)患者の自立性の尊重
2)善行:最善を尽くす
3)無危害:危害を加えない
4)正義:類似の状況になる患者さんは同じ医療が受けられる
(分配的正義)
・医療倫理の4分割法(Jonsen)
a)医学的適応
b)患者の意向
c)QOL(幸福追求Well-Being)
d)周囲の状況
(最後に特別講演がありましたが、明日にします。)