昨日、一昨日からの続き。
動脈硬化と加齢性難聴についての論文。
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『高齢者における基礎疾患と聴力障害の関係』 内田育恵 他,
Audiology Japan Vol.46,No.5,2003 (立療養所中部病院・名古屋大学)
全身性基礎疾患と聴力障害との関連を、年齢や性差を考慮に入れて検討
長寿医療研究センター疫学研究部における『老化に関する長期縦断疫学研究』
年齢、耳疾患の既往、騒音職場の就労歴の3因子は
統計学的に有意な難聴の危険因子とみなされた。
糖尿病、虚血性心疾患、腎疾患では
両側性難聴の危険性を数倍高めることが推定された。
中でも糖尿病は男女ともに有意に難聴の危険性を高めることが示された。
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『喫煙習慣が聴力障害に及ぼす影響について;』 木田さとみ 他,
人間ドック 27:851-855,2013
男性では喫煙群および禁煙群において非喫煙群に比べて
優位に聴力障害者が多かった。
また、男性では禁煙群において喫煙群に比べて優位に聴力障害者が多かった。
喫煙習慣は聴力障害の危険因子であると考えられた。
防煙および早期の禁煙が加齢に伴う聴力障害の予防につながる可能性
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『高齢者の聴力に個人差が大きいのは何故か
-全身の老化との関係において-』 下方浩史,
Audiology Japan 51, 177~184, 2008
(国立長寿医療センター研究所疫学研究部)
聴力の加齢に伴う変化は個人差が大きく,
その個人差には,内的要因としての遺伝子多型と
数多くの外的要因の関与が考えられる。
加齢によって聴力は高音域ほど低下し,
男性は女性よりもその影響が大きかった。
聴力の加齢変化には遺伝子多型の影響が大きかった。
糖尿病,虚血性心疾患,腎疾患などの慢性疾患が聴力と関連しており,
特に動脈硬化との関連が大きかった。
また騒音曝露,喫煙と聴力との関連が認められた。
遺伝子多型5種類の組み合わせが
高音域の聴力障害に最も関連する遺伝子多型として選ばれた。
これらの遺伝子多型は動脈硬化や肥満に関連する遺伝子多型として
知られているものである。
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『HbA1c と加齢性難聴の関連に関する横断・縦断的検討: 倉渕高齢者コーホート』
水足邦雄 他,Audiology Japan Vol. 56, No. 5 2013 (慶応大学)
過去1~2 か月の平均血糖値を反映する指標であるHbA1c と
聴力低下との関連について検討
横断的解析でHbA1c と聴力低下に統計学