(昨日からの続き)
<症例呈示>
高齢者の便秘
麻子仁丸の覚え書き
高齢者の頑固な便秘に
糖尿病にも良い影響
大黄入りでオムツが赤くなることも
高齢者の便秘の鑑別
・麻子仁丸:大黄含有・黄芩(-)
・潤腸湯:大黄含有・黄芩含有 虚証で皮膚乾燥
※咳が潤腸湯で改善することがある
・加味逍遥散:大黄(-)、瘀血・易怒性
・小建中湯:大黄(-)、腹痛・腹直筋攣急
<症例呈示>
性的逸脱行動
⇒桂枝加竜骨牡蛎湯で改善
ただし、時に倍量投与が必要
桂枝加竜骨牡蛎湯の覚書
各種の性的逸脱行動に
急速に効果を上げるのは倍量投与も
元来陰萎の方剤⇒中庸化作用?
腹部の動悸は根拠にならない
軟便傾向の時
便秘傾向なら柴胡加竜骨牡蛎湯
偽アルドステロン症
3包では可能性あり
2包ならまず大丈夫
<症例呈示>
拘縮と筋力低下で動けない男性。寝たきり状態。
⇒黄耆建中湯で坐位可能⇒自力経口摂取⇒歩行器で歩行可能
黄耆建中湯
良い適応
虚労、腹直筋緊張(薄)、腹痛
使用目標
1.虚弱(児)の諸病
2.果物顔(青白い果物ばかりたべていそうな顔)
3.手足煩熱
4.皮膚症状(皮疹、盗汗、化膿)
5.鼻出血、動悸
気虚・脾虚の鑑別
・黄耆建中湯:腹直筋攣急(+)倦怠感(+)
・小建中湯:腹直筋攣急(+)倦怠感(-)
・腹直筋攣急なし・・・十全大補湯、六君子湯、補中益気湯
<症例呈示>
誤嚥性肺炎を繰り返す男性
⇒清肺湯で沈静化
清肺湯の覚書
・ズルズル・ゼロゼロの喀痰に
・ご縁は起こるが肺炎になりにくい
・嚥下反射改善には半夏厚朴湯
・高熱が出たら柴胡剤+抗生剤
<症例呈示>
黄耆建中湯が奏功した敗血症
黄耆建中湯
究極の補剤
高齢者の呼吸器感染症の鑑別
・補中益気湯:腹直筋攣急(+)自汗(+)
・清肺湯:腹直筋攣急(+)自汗(-)誤嚥(+)
・小柴胡湯:腹直筋攣急(+)自汗(-)誤嚥(-)
・人参養栄湯:腹直筋攣急(-)咳嗽(+)
・十全大補湯:腹直筋攣急(-)咳嗽(-)
尿路感染症の鑑別
・猪苓湯:尿路症状(+)口渇(+)
・猪苓湯合四物湯:尿路症状(+)口渇+冷え症+肌荒れ
・清心蓮子飲:尿路症状(+)精神神経症状(不眠・抑うつ)
すぐにトイレに行きたがる
・竜胆潟肝湯:尿路症状(++)体力(+)
・五淋散:尿路症状(++)体力(-)
感染性腸炎の鑑別
・黄芩湯:全部症状(+):発熱・下痢・嘔吐・腹痛
・半夏瀉心湯:下痢・粘血便、悪心・嘔吐・腹痛
・五苓散:下痢・粘血便、嘔吐・口渇・尿量減少
・桂枝加芍薬湯:下痢・粘血便、腹部膨満、腹痛
・桂枝人参湯:発熱・頭痛・上熱下寒
・啓脾湯:嘔吐、口渇、尿量減少
・真武湯:四診の冷汗、めまい
歯周炎の鑑別
・辛夷清肺湯:化膿傾向、熱性傾向
・排膿散及湯:化膿傾向、熱性機構(-)
・立効散:化膿傾向(-)、歯痛(+)
・桔梗湯・甘草湯:化膿傾向(-)歯痛(-)
漢方医学からみたサルコペニア
・基本的な下半身の老化(腎虚)には補腎剤
・局所への物質の動員には血の働きを十分に
・筋の生成には消化吸収能(脾胃)を高める
・リハビリの推進や筋緊張の調整には肝が重要
・生命活動の源を阻害、疼痛の原因となる冷えを改善
・小児医療の知恵を高齢者医療に生かす
・「食う・寝る・出す・遊ぶ」を整える
高齢者の診方・看方・味方
・高齢者(+家族)に漢方を使おう
・ゴールを決めてはけない
・観の目強く、見の目よわく見るべし
⇒宮本武蔵『五輪書』水の巻
・食う・寝る・出す・遊ぶ
便通がキーワード