本:食べごしらえ おままごと2

(昨日からの続き)

前回、この本を読んで、
生活の節目やハレの日に、
旬の食材を使って、手作りの料理を振る舞う、
そうした伝統は今は失われてしまった。
ということを書きました。

もちろん、「昔はよかった」なんて単純には言えません。
たとえば、特別な日の中でも、冠婚葬祭は
昔はそれぞれ家で行われていました。
特に結婚式や葬儀・法事。

僕の実家の集落でも、高校生頃までは多くの家が、
親戚や近隣の人を招いて家で宴が開かれていました。
法事なんかは今でも家でされるところも多いです。
しかし、これがなかなか大変です。

家中を掃除して、来客の数だけ座布団を部屋にひきます。
また、膳を人数分用意して、
来客用のハレのお茶碗、汁椀、湯呑み、盃、徳利、取り皿などなど
ぜ~んぶ、物入れから出してきて、一つ一つ洗います。

そして、多少は仕出し屋さんから料理を取るとはいえ、
何品かは自分の家で手作りのものを
出さなければいけませんでした。

そうして、当日は来客のおなご衆は台所で、
世間話をしながらご飯を炊いて、
汁物(たいていはお豆腐のすまし汁でしたが)を作って、
来客に備えます。

法事ですら、最低限これぐらいはしなければならず、
おそらく祝言とか葬式となるともっと大変です。
そうした行事を母親は「まぜごと」と呼んでいました。
まさに家の中が混ぜ返されるようなものでした。

さらに宴が始まるとホストとなる家の者は、
お酒を注いで回ったり、給仕をしなければいけません。
話下手の僕はこれが昔はすごく苦手でした。
(まあ、今でもそれほど得意ではありませんが)

こうした行事、昔の人からすれば、
一種のアトラクションみたいなものだったのかもしれません。
懐かしいともいえますが、
またやりたいとは思いません。
ホストとなるファミリーの負担が大きすぎます。

まあ。それでも、懐かしく覚えている料理があります。
一つは「鮒の子まぶし」。
実家にいる頃は、どこでも出される料理と思っていましたが、
高校卒業後、他県では食べたことがなく、
ネットで調べてみたら、滋賀県の郷土料理でした。
写真は、「ジモトのココロ」さんから拝借してきました。
funako
これは、仕出し屋さんとか料理屋さんから取り寄せます。
黄色い酢味噌で食べます。

もう一つ、懐かしく思い出すのが「でんがく」。
ネットで調べますと、「味噌田楽」というのが正しい様です。

お豆腐を10cm×2~3cmの短冊状に切って、
それに先が2本に分かれた鉄串を突き刺して、
炭火で焼きます。
昔は家にこの田楽専用の長方形の七輪がありました。

豆腐田楽
ちょうどこんな感じですね。
こんなふうに豆腐を炭火で焼いて、
串から外したものに味噌をたらして食べます。
昔はこれが好きでした。