これは耳鳴り治療に応用できるかも!

と言っても、f-MRIと十分に鍛えられた人工知能による
アルゴリズムが必要ですので、
現在のところ、今すぐには現実的にはなりませんが。

恐怖記憶を消去するニューロフィードバック技術を開発
http://www.natureasia.com/ja-jp/nathumbehav/interview/contents/1

耳鳴りの患者さんが一番困るのは、
耳鳴りと情動(感情)が固く結びついてしまっていることです。
耳鳴りはしているけれど特別困っていない人もいるわけで、
困っている人と困っていない人の違いは、
耳鳴り情報が扁桃体と呼ばれる脳とネットワークを
形成してしまっているからです。

まあ、もちろん耳鳴りの情報自体を消し去る方法が
将来開発されることを望んでいますが、
それはさらに時間が必要でしょう。

とりあえず、扁桃体をコントロールして、
耳鳴りに対する負の感情を抱かないようにできれば、
患者さんも日常生活を送ることができます。

この扁桃体をコントロールする方法は、
一つには前頭前野と呼ばれる部分が大切と考えられています。
それには、しっかりとした知識をもつことです。
「怖い怖い、幽霊かも」
と思っていたら、よく見たら柳の木だったということですね。

しかし、実際のところ、
患者さんが来院されるたびに、
耳鳴りのメカニズムについて何回お話しても、
結局のところ、
「耳鳴りに効く薬はもう他にはありませんか?」
と最後に尋ねてこられる人の多いのも事実です。

また、何回挑戦しても成功しない禁煙やダイエット。
こうしたものは、結局、
「無意識」にうまく働きかけてやらないと続かないわけです。

おそらく有能なカウンセラーというのは、
この、患者さんの「無意識」にうまく働きかけて、
システムを変化させるのが上手なんだろうと思います。

心理療法の中にアンカリングというのがあります。
上手くいっていた時の状態や、
ハッピーだった時の状態を思い浮かべ、
その時の情景をいつでもうまく引き出せるように
何らかの動作に結びつけておくわけです。

まあ、験(ゲン)をかつぐとか、ジンクスを信じるというのも
似たようなものかもしれません。
ただ、こうした験かつぎなどは、
パターンが一度崩れるとうまく行かなくなることもあります。
意識しての行動には限界があります。

その点、無意識は強いです。
特に報酬系のニューロンは強いです。
これをうまく味方につけることができれば、
いろんなことができます。

今回のこの開発された技術というのは、
いうなればこの、無意識にうまく働きかける方法を
科学的に開発したといえるのかもしれません。

応用としては、
PTSDや色々な心身症にも有効だろうなと思います。

文中にも書かれてますが、
こうした技術はそうそう悪用されはしないでしょうが、
油断することなく、
いいことにだけ応用されていってほしいものです。

タイトルを見て読みにきて下さった方には
あまり現実的な話でなくて申し訳ありません。
将来的にはこうしたものを用いて
耳鳴りの苦痛から開放される日がくるかもしれない
そういうお話でした。