講義メモ:滋賀漢方スキルアップセミナー2 認知症のBPSD

先週に続いて滋賀漢方スキルアップセミナー備忘録
内容についての保障はありません。
参考になさる方は各自で確認をしてください。

2.認知症に関連したBPSD対策

 

認知症の症状には中核症状と周辺症状(BPSD)がある
・中核症状:記憶障害、見当識障害、判断力の障害、実行機能障害など
周辺症状には陽性症状と陰性症状がある
・陽性症状:暴力、暴言、徘徊、独言、妄想、幻覚など
・陰性症状:無気力、無関心、無動、うつ状態など

 

認知症の患者さんは昔できたことができなくなるのですごく不安
認知症の中核症状に効く処方はあまりない
・現在のところ、当帰芍薬散釣藤散
・抑肝散はよく使われているが周辺症状に効果がある


周辺症状は環境で変化する
まずは環境が大切
認知症と少子高齢化は世界の課題
認知症には集団行動がよい

 

・漢方薬による治療効果が高いのはBPSD症状に対して
・認知症の治療は、薬物療法以外に、生活習慣病の予防や、
音楽療法、回想療法、絵画療法、アニマルセラピーなどいろいろな
治療を集約的に行うことがよい

 

<陽性のBPSD症状>

 

ファーストライン
54抑肝散:いつもイライラ神経過敏で過興奮にある時(体力やや弱)
84大黄甘草湯:便秘があって、イライラ(体力中等度)
15黄連解毒湯:便秘なく、赤ら顔で興奮の強い時(比較的体力あり)

 

セカンドライン
83抑肝散加陳皮半夏:抑肝散を用いるような場合で、 少し胃腸が弱く、体力が低下気味な時
72甘麦大棗湯:体力やや低下気味で不安や不眠傾向、周期的にヒステリー
26桂枝加竜骨牡蛎湯:体力やや低下、不眠とともに夢をよく見る 、不安・不眠・動悸

 

興奮がある場合
・便秘がある場合は必ず便秘をよくする⇒大黄製剤
大黄:単なる下剤ではない
頭を鎮める作用あり

 

抑肝散と抑肝散加陳皮半夏
抑肝散は男性に、抑肝散加陳皮半夏は女性に有効例が多い傾向
いずれにしても長く投与する薬剤ではない(特に抑肝散)
まずは2週間⇒効けば4週間⇒よくなればやめる
抑肝散:こめかみの頭痛
1~2ヶ月でやめる
再発したら再開

 

<陰性のBPSD症状>

 

・陽性症状に比べ訴えが著しく低下するため、早期発見がむずかしい
・食慾低下から脱水や低栄養状態になり、
肺炎や尿路感染症をきたし重篤な状態になることがある。

 

ファーストライン
41補中益気湯:最も使用頻度が高い。全身倦怠感、抑うつ気分、食慾低下
43六君子湯:全身倦怠感、手足の冷えを伴う、心下部不快感
16半夏厚朴湯:脳血管障害のあとにうつ状態に陥った場合

 

セカンドライン
23当帰芍薬散:冷え症、やや浮腫傾向、気力の低下
70香蘇散:かぜ症候群のあと、気うつ、頭痛、めまい、食欲低下、
48十全大補湯:皮膚が乾燥して貧血傾向
・どうしても長期処方が多くなる
⇒それでも、よくなったらやめてみる

 

Cf.
・犬の遠吠えに抑肝散が有効

 

甘草と偽アルデステロン症
投与後1ヶ月後頃が多い
甘草1.5g以上・65歳以上で注意

 

72甘麦大棗湯:甘草5g
甘いものは精神不安を↓
ひきつけ発作時 3包×4日 頓服的に
1回3包をレスキューとして最初だけ
(芍薬甘草湯も同様)
Panic disorder系にもよい

 

12柴胡加竜骨牡蛎湯・26桂枝加竜骨牡蛎湯
精神安定作用
睡眠障害
IBSに60桂枝加芍薬湯だが、不安症状強い場合は26桂枝加竜骨牡蛎湯

 

14半夏瀉心湯=小柴胡湯の親戚
口内炎ができやすい時

 

倍量服用が効果的・・・小青竜湯、呉茱萸湯
漢方は時代によって使い方が変わる
・お産後の冷え症:一般的には当帰芍薬散⇒近年:六君子湯

 

16半夏厚朴湯
16半夏厚朴湯21小半夏加茯苓湯+厚朴・蘇葉
この厚朴・蘇葉=SSRI・SNRI
fiberscopeで声帯に浮腫⇒半夏厚朴湯
fiberscopeで声帯が閉じにくい(?)⇒補中益気湯
脳内のドーパミン↓=うつ/サブスタンスP↓=嚥下障害⇒半夏厚朴湯で↑
体力があって脳血管障害でウツっぽい⇒半夏厚朴湯

 

昔の女性の処方:今は男性にも用いる
23当帰芍薬散⇒高齢者
24加味逍遙散⇒男性更年期
25桂枝茯苓丸⇒男性の高血圧

 

70香蘇散
1包57円と安価
高齢者のかぜ症候群

 

五苓散と当帰芍薬散は親戚
余分な水分をとる

 

うつの人の脈診
意外に脈が大・・・エネルギーがたまっている、滞っているだけ

 

六君子湯と半夏
・六君子湯は基本的には冷え症+食慾不振、舌が白い
・半夏は体力あり=脈大
・半夏=SSRI・SNRI:梅核気、お腹が張っている、呑気症