先週の日曜日(2/19)、高槻市で開催された
日本東洋医学会関西支部例会に行ってきました。
今回の特別講義は、
北里大学東洋医学総合研究所所長、花輪壽彦先生。
タイトルは『漢方診療スキルアップのテクニック』
花輪先生は現在の漢方医学会の超有名な先生。
学会の案内が来た時からお話を聴いてみたいと思っていました。
講義は、最初、北里大学総合研究所の歴代の所長、
初代 大塚敬節先生
2代 矢数道明先生
3代 大塚恭男先生
について、好んで使われた処方を中心にお話されました。
この3名の先生は昭和を代表する漢方医です。
そうした先生の処方を学ぶ、
特にその背景を学ぶというのは有意義だと思います。
後半は実際の診療におけるコツのようなものを
いろいろと教えていただきました。
最後の結びのスライド。
<漢方スキルアップのテクニック>
・古典をよく読む
・薬理機序も理解する
・「処方集」を読む習慣をつける
・外来診療後に気になるカルテは読み返す
・患者さんの「生の言葉」と「家庭環境」「社会環境」などを見直す
上手な四診は漢方専門医の能力に比例する
・システムズレビュー(Review of systems)を作り見逃しを防ぐ
・「不惜身命」「漢方に生きる」の覚悟を!
まあ、僕は耳鼻咽喉科医を主として、
漢方はそれを補う形で用いているわけですが、
だからと言って、いいかげんでいいわけではないので、
少しでもスキルアップできるように
上の言葉を肝に銘じて精進したいと思います。
特に『古典をよく読む』というのは、なかなかできていませんね。
『「処方集」を読む習慣をつける』については、
具体的に、竹茹温胆湯を例にお話していただきました。
竹茹温胆湯というのは、
:柴胡、竹茹、茯苓、麦門冬、陳皮、枳実、黄連
からなる処方ですが、一般的には長引く咳の薬とされています。
しかし、この中には柴胡も含まれており、
広義の柴胡剤でもあります。
加味逍遥散を本来考えたいけれど、
加味逍遥散の中には黄芩や山梔子が含まれるので、
アレルギーが気になる場合は、
この竹茹温胆湯を用いるのも一つだと。
そして、それは、処方集を普段から眺めていて
気がついたとお話されました。
ここが漢方の面白いところですね。
小青竜湯
麻黄、芍薬、乾姜、甘草、桂皮、細辛、五味子、半夏
を用いたいけれど、
高血圧や不整脈、甲状腺機能亢進症などがあって、
処方がためらわれるとき、
苓甘姜味辛夏仁湯
茯苓、甘草、半夏、乾姜、杏仁、五味子、細辛
を用いるというのも似たようなものかもしれません。
中に、乾姜、甘草、細辛、五味子、半夏
が共通しています。
実際に、苓甘姜味辛夏仁湯は、
小青竜湯の裏処方と言われるゆえんです。
明日に続く