病気と心

以前、日常診療をしていると
心理的な問題がありそうなケースに遭遇するという話をしました。
2016/11/02 ブリーフセラピーについて

そこでも書きましたが、
心理的な問題が背景にありそうであっても、
中々、心療内科やましては精神科に紹介するというのは躊躇します。

「気のせいだと思われた」とか、
「うそをついていると思われた」とか、
「怠けたいからだと思われた」とか、
そんなふうに感じてしまわれるのではないかと思うと、
中々言い出すことができません。

そんなことは、これっぽっちも考えていないのですけどね。
心因性の疾患や、病気が心身症的である人というのは、
おそらく日常生活の中のストレスに対して、
意識的・無意識的にかかわらず、ギリギリのところで頑張っていて、
それが、もうどうしようもなくなって、
身体症状として表現することで、何とかしのいでいる、
そんな人が多いのだと思います。

また、実際に患者さんの中には、
既に心療内科などを受診されている方も最近では増えています。
ただ、そういう患者さんの中には、
すでに山のように向精神薬をもらっている方もいらっしゃいます。
そんな時には困ってしまいます。

まあ、大したことは出来ないかもしれませんが、
そんな患者さんに、
何かワンポイントでもサポートできることはないものか?
そんな虫のいいことを考えてしまいます。

でも、ドミノ倒しも最初の1個を倒す所から始まりますし、
「蟻の一穴(いっけつ)」という言葉
-これは普通悪い意味に使うのでしょうが-
ある一言で、それまでのガチガチの問題点が一気に崩れ去る
ということがある「かも」しれません。

病気、特に慢性病の多くは、(全てとはいいませんが)
ストレスや生活習慣に起因するものが多いと思います。
そしてストレスの多くは対人関係です。
人に対応する時の心のあり方の問題です。

また生活習慣にしても、
たとえばたばこが止められないとか、お酒を飲み過ぎるとか、
運動不足だとか、寝不足だとか・・・まあ、色々ありますが、
これらも無意識や深層心理が絡んでいる場合が少なくありません。
つまり、対自分関係における心のあり方の問題です。

こころと病気、こころと身体。
「こころ」について今一度勉強するのも一つかなと思っています。