僕が医師になるまで20

前回から少し間があいてしまいました。

今日は僕と漢方の出会いをお話します。

医学部に入学した年、父が亡くなったことは以前書きました。
おそらくそのことが、
僕が漢方を学んでみようと思った
直接の契機になったのだと思います。

おそらく3年生くらいだったのではないかと思います。
臨床医学をまだ学び始めてもいない時期だったにもかかわらず、
というか、学んでいないからこそ、
現代医学とは違った、
治療に関する何か他にいいものがないのかな?
と探していたのだと思います。

そこで興味が漢方に向かったのは、
単なる偶然ではなかったのだと思います。
それは、僕が高知医科大学に入る前の1年間、
金沢大学に通っていたことに遡ります。

金沢大学の理学部生物学科に入学した時、
僕が属していたクラスの18組は、
理学部生物学科と薬学部薬学科の混成のクラスでした。
最初のうちは教養課程ですので、
薬学科の人とも一緒に行動することが多かったので、
自然と薬学部の情報も聞こえてきます。

大学祭の時のことでした。
秋になって、再受験すると決めていたにもかかわらず、
クラスにもしっかり染まって、
僕も同級生と一緒にクラスの催しの手伝いをしていました。

クラスの半分は薬学部です。
薬学科の同級生が漢方研究会に属していた様で、
何やら、「二日酔いにいい漢方とかあるよ」なんて言って
茶色い粉を見せてくれたことがありました。
その時には、「へぇ~」くらいにしか思っていませんでしたが、
記憶の片隅に残っていたのだと思います。

また、生物学科に入学していたことも、
僕を漢方系に目覚めさせる役割をしていたようです。

当時、生物学科の連中の中の何人かが、
自然保護研究会というサークルに属していて、
金沢郊外の医王山(いおうぜん)という山に行くというので、
連れて行ってもらったことがありました。

山のふもとを散策するだけではありましたが、
自然のヤマモモを取って食べたりして楽しいひと時でした。
その時に、野草や薬草についても
何かしら教えてもらった様に思います。

たぶん、これが生薬についての僕の原体験だったのだと思います。

まあ、そんな下地があったものですから、
自然と漢方に興味を持つ様になっていきました。
ただ、それでも最初の頃は、
漢方薬も民間薬も生薬も一緒くたにしていて、
新聞に生薬の記事の連載があったりしたら、
それを切り抜いてスクラップにしたり、
野草図鑑のようなものを買ってきて眺めているだけでした。

続く