前回から少し間があいてしまいました。
今日は僕と漢方の出会いをお話します。
医学部に入学した年、父が亡くなったことは以前書きました。
おそらくそのことが、
僕が漢方を学んでみようと思った
直接の契機になったのだと思います。
おそらく3年生くらいだったのではないかと思います。
臨床医学をまだ学び始めてもいない時期だったにもかかわらず、
というか、学んでいないからこそ、
現代医学とは違った、
治療に関する何か他にいいものがないのかな?
と探していたのだと思います。
そこで興味が漢方に向かったのは、
単なる偶然ではなかったのだと思います。
それは、僕が高知医科大学に入る前の1年間、
金沢大学に通っていたことに遡ります。
金沢大学の理学部生物学科に入学した時、
僕が属していたクラスの18組は、
理学部生物学科と薬学部薬学科の混成のクラスでした。
最初のうちは教養課程ですので、
薬学科の人とも一緒に行動することが多かったので、
自然と薬学部の情報も聞こえてきます。
大学祭の時のことでした。
秋になって、再受験すると決めていたにもかかわらず、
クラスにもしっかり染まって、
僕も同級生と一緒にクラスの催しの手伝いをしていました。
クラスの半分は薬学部です。
薬学科の同級生が漢方研究会に属していた様で、
何やら、「二日酔いにいい漢方とかあるよ」なんて言って
茶色い粉を見せてくれたことがありました。
その時には、「へぇ~」くらいにしか思っていませんでしたが、
記憶の片隅に残っていたのだと思います。
また、生物学科に入学していたことも、
僕を漢方系に目覚めさせる役割をしていたようです。
当時、生物学科の連中の中の何人かが、
自然保護研究会というサークルに属していて、
金沢郊外の医王山(いおうぜん)という山に行くというので、
連れて行ってもらったことがありました。
山のふもとを散策するだけではありましたが、
自然のヤマモモを取って食べたりして楽しいひと時でした。
その時に、野草や薬草についても
何かしら教えてもらった様に思います。
たぶん、これが生薬についての僕の原体験だったのだと思います。
まあ、そんな下地があったものですから、
自然と漢方に興味を持つ様になっていきました。
ただ、それでも最初の頃は、
漢方薬も民間薬も生薬も一緒くたにしていて、
新聞に生薬の記事の連載があったりしたら、
それを切り抜いてスクラップにしたり、
野草図鑑のようなものを買ってきて眺めているだけでした。
続く