昨日からの続き
<文献>
・1993年 Schondorf & Low:初めて報告
・1999年 Stewart et al.:思春期のPOTS
・Johnson JN et al.:小児科からの臨床症状の報告
・Benarroch EE et al. や、Low PA et al.:成人例を主体とした症状の報告
など
<症状>
・起立性徴候
ふらふら感・浮遊感、動悸、失神に似た感じ、
暑さによる悪化、運動による悪化、
食事による悪化、生理による悪化
脱力感、ふるえ、息が上がる、胸痛、、多汗、汗の欠乏
・非起立性徴候
嘔気、腹部膨満、下痢、便秘、腹痛、尿路症状、嘔吐、瞳孔症状
・その他の症状
疲労、睡眠障害、偏頭痛・頭痛、筋性頭痛、神経障害性疼痛
<生活指導>
① 運動療法;
毎日の散歩程度の運動をすすめる。
OD の多くは運動が嫌い。ごろごろばかりにならないように指導する。
たとえば1 日15 分の歩行。
心拍数が120 を越えない程度の軽い運動(腹筋などの臥位でおこなう運動など)
② 肉体操作;
起立時には、いきなり立ち上がらずに、30 秒程かけてゆっくり起立。
歩行開始時は、頭位を前屈させれば、脳血流が低下しないので
起立時の失神を予防できる。
起立中に、足踏みをする。
両足をクロスに交叉する。更に頭を前屈する。
③ 規則正しい生活リズムのすすめ
夜更かし、朝寝坊をやめる。昼寝をしない。など
最も難しいが、強制してストレスにならないようにその子にあわせて指導する。
④ 暑い場所は避ける
高温の場所では、末梢血管は動脈、静脈とも拡張し、
また発汗によって脱水をおこし、血圧が低下する。
入浴は短時間。梅雨、夏場は注意。
⑤ 下半身圧迫装具
下半身への血液貯留を防ぎ、
血圧低下を防止する装具
(弾性ストッキングやOD バンドのような加圧式腹部バンド)は、
適切に利用すると効果あり。
⑥ 食事の注意
OD の子どもは塩辛いものを好まない。
循環血漿量を増やすため、やや多めの食塩摂取(食塩10g~12g)をとる。
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2021.4.14追記
前回・今回の記事は、原因不明のめまいで受診される患者さんの中に、
時にこのPOTS(体位性頻脈症候群)という病態が潜んでいることから、
問題解決のヒントになるかもしれないと考え記事にしてみました。
確定診断としては、
ヘッドアップチルト試験や起立試験 といった検査で行われるのですが、
当院では簡易型の検査で疑いのある患者さんを見つけ出す様にしています。
POTSの疑いがあった場合は、確定診断や本格的な治療に関しては、
ご希望があれば脳神経内科や小児科にご紹介させていただきます。
上記⑤の下半身圧迫装具についても、記載はいたしましたが、
経験がないため適切な製品をご案内することができません。
ご希望の場合はご紹介させていただきます。
治療として、時に漢方薬が有効な場合もありますので、
当院では、まずは漢方薬をお試しいただく場合もあります。
POTSを検索し、今回の記事をご覧になられた方々に
参考になれば幸いです。